サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession
ギリシャ,  ヨーロッパ

サントリーニ島・ピルゴスのイースター|幻想的な光が村を包む伝統行事に行ってきた

一年で最も神聖な夜、イースター。

サントリーニ島の中心にひっそりと佇むピルゴス村では、イースター前夜になると村全体が無数の炎に包まれ、幻想的な光景が広がります。

ギリシャ人の友人が、イースターの時期にギリシャへ行くならぜひ参加してみて、とすすめてくれた伝統行事。実際に参加した体験をもとに、ろうそくの灯りに彩られる特別な夜の様子を詳しくご紹介します。

観光地としてのサントリーニとは一味違う、静けさと祈りに満ちたもうひとつの顔をのぞいてみてください。

イースターとは?

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

イースター(復活祭)は、キリスト教で最も重要とされる祭りの一つで、イエス・キリストの復活を祝います。

ギリシャでは主に東方正教会のカレンダーに従って祝われ、西洋のイースターとは日付が異なることもあるので注意が必要です。

特にサントリーニ島では、イースターが一年で最も大きな祝祭行事として知られています。

ピルゴス村とは?

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サントリーニ島のほぼ中央に位置するピルゴス(Pyrgos)は、中世の要塞の名残をとどめる石造りの家々が美しい小さな村。

Pyrgos Kallistis Castleを取り囲むように細い路地がはりめぐらされています。

観光地としての派手さはないものの、その分、島の素朴な暮らしや伝統が色濃く残っており、特にイースターの時期には多くの人がこの村に足を運びます。

Firaからは公共バスで行くことも可能です。

ピルゴス村のイースター行事

ピルゴス村ではイースター直前の金曜日、ギリシャ正教の「グッド・フライデー(聖金曜日)」、村全体をろうそくやランタンの光で包み込む幻想的な儀式が行われます。

この伝統行事は「アナスタシ(復活のミサ)」と呼ばれる正教会の宗教儀式と連動しており、20時頃から深夜まで、村人や観光客が一体となって光の道を作ります。

キリストの受難と埋葬を追悼するもので、夜に行われるエピタフィオス(Epitaphios)というキリストの棺(を模したもの)を村中で担いで練り歩く儀式にあわせ、道や家々にろうそくやランタンに灯りをともすという伝統が根付いています。

ピルゴスは丘の上にあるため、火が灯された村全体の景色が上からも下からも見渡せ、その幻想的な風景は風物詩として有名になっています。

行事名Greek Orthodox Good Friday Procession(Μεγάλη Παρασκευή)
開催日:イースター直前の金曜日の夜(Holy Friday / Good Friday)
内容:キリストの埋葬を象徴する荘厳な行列と、村全体のろうそくによるライトアップ

火を灯すまでの流れ

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

2025年4月18日に行われたGreek Orthodox Good Friday Processionに、実際に参加してきたので、そのイベントの流れや様子を紹介します。

ろうそく・ランタンの準備

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession
これがろうそく。長持ち最強

日が暮れる頃、村のあちこちに空き缶やランタンが設置され、オリーブオイルやキャンドルの芯が用意されます。これは村人によって事前に丁寧に準備されたもので、観光客もその様子を見ることができます。

その後、信者の方たちは教会の中でミサを行っていました。

場所取り

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession
ピラゴスの町も可愛いので、散策しながら場所探し

ミサには観光客も参加できますが、あまりにも神聖、真剣そのもので無信仰者が入る余地はなさそうだったので断念。

ベストポジションを取ろうと18時過ぎには頂上近くで待機していたのですが、このくらいから徐々に人が増えてきました。

ちなみに下側にある広場沿いのレストランはすでにどこも満員。レストランでゆっくり座って飲みながら食べながらを希望する場合、予約しておくか、もっと早めに到着する必要あります。(しかし火が灯るのは21時なので長丁場になることをお忘れなく。)

ピルゴスからのサンセット堪能

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場所を取ったら、ひたすら待つのみ。ピルゴスは高台にあるのでサントリーニ島を一望でき、美しいサンセットも見ることができます。

なので、エピタフィオス出棺の瞬間を頂上付近で見学し、出棺の行列が行ったあと、人も減るのでゆっくり上からの写真撮影をして下りるのがおすすめです。

火はほぼ一晩中灯っており、勢いはすぐには収まらないので十分に時間はあります。

エピタフィオス出棺(21:00頃)

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

21時を過ぎたころに少しあわただしくなり、一番頂上の教会からエピタフィオス(Epitaphios)が信者に担がれて出てきました。

信者の人々は祈りを唱えながら喜びの言葉を交わし合う、厳粛で神聖な雰囲気に包まれます。

点灯の開始

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

エピタフィオスの行列は観衆が見守る中、厳かに下の町へと向かってくだっていきます。それと同時にいよいよ点火の開始。

祭壇や教会から火が灯され、それが徐々に村のあちこちに広がっていきます。狭い石畳の道や家々の屋根、階段までもが柔らかな火に照らされ、村全体がまるで光の迷路のように輝き出すさまはまさに圧巻の一言。

この日は風が強く、ガスバーナーのごうごうという音の中を火の粉が舞い迫力がありました。

火は信者の方たちが厳かに1つ1つ灯していくのかと思っていたら、ガスバーナーを持ったテロリストのような人たちが、うりゃうりゃ!とつけていって唖然。

確かにそうしないとこれだけの量を灯すのは大変だろうと納得。しかし私は火が苦手なので、感動しつつもちょっと火の粉とがずバーナーが恐怖でした。

頂上を目指す光の道

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

村を隅々まで巡ったエピタフィオスの一行は、高台にある元の教会へ向かって、火を灯した人々の列が続きます。

多くの人が静かに歩き、時には「キリストは復活した(Christos Anesti)」という挨拶を交わし合います。

点火から1時間、ほとんどの観光客が帰り始め、本当の地元の信者さんたちだけの静かな時間へと戻っていきます。それでも火の勢いは衰えず、深夜0時を過ぎても遠く離れた私のお宿からもまだ見ることができました。

イースター前夜:ミサと花火(深夜0時頃)

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

翌日、イースター前夜(聖土曜日)の深夜には、各地の教会で復活のミサが行われ、「アナスタシ(復活)」が宣言されると、一斉に鐘の音と花火が鳴り響き、島は最高潮に達します。

なぜこのような行事が行われるの?

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

この光の儀式は、キリストの復活を象徴する「光」を文字通り表現したものです。

ピルゴス村の人々は、自分たちの村をこの神聖な瞬間の舞台として守り続けてきました。

観光イベントではなく、あくまで「信仰」と「伝統」が根底にある点が、この行事の特別さを物語っています。

ピルゴスのイースターイベントへの行き方

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession
別日は写真中央のピルゴスの中までバスが行ったのに、この日の17時のバスはずっと手前で降ろされ徒歩で。

当日は地元の信者、サントリーニの信者、それに加え、世界中からの観光客が訪れ町は大賑わいとなります。

普段は公共バスが村の中心まで行きますが、当日の夕方あたりになると村の中心まではいかず、村の入口(坂の下)で降ろされます。10分くらい上がらなくてはいけないので注意しましょう。

タクシーやレンタカーは中心まで行けますが、規制がかかっていて渋滞します。混雑を避けるためには、往復のタクシーを予約しておくのが便利。たくさんの人が一斉に移動するので、待ち合わせ場所や時間はドライバーと事前にしっかり決めておきましょう。

Lapinの旅行記:ピルゴス・イースター編

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

I joined the Good Friday Easter event in Santorini. Although I don’t follow any particular religion, I deeply respect all beliefs and traditions. Today, I’m simply grateful to have witnessed this beautiful ceremony.

白と青のサントリーニ島
ではなく、まずは一般的なイメージとは違う場所をレポート。

今週はイースター週間。
聖金曜日(Good Friday)の夜にサントリーニ島のピルゴスで行われる「エピタフィオス(キリストの棺の行列)」は、ギリシャ人の友人、Dimiさんが教えてくれた特別なイベント。
ありがとうDimi😊参加できてすごくよかった。

キリスト教の伝統に基づくこの行事では、地元住民たちが家や通りに灯をともし、キリストの象徴である棺が教会から村を巡る際、その道を神聖な光で包みます。

無数のキャンドルやランタンが灯され、まるで山の斜面が炎で浮かび上がるような光景は幻想的であり圧巻。ピルゴスの伝統的な白い家々と暖かい炎のコントラストがまるで別世界にいるような雰囲気を醸し出します。

宗教を問わず、誰もが心を打たれる美しさと、平和への祈りが感じられるセレモニー。この瞬間に居合わせたことに感謝です。

それぞれの宗教や文化には、その人たちの歴史や願い、人生の意味が込められています。
宗教が違っても、それを互いに理解しようとする気持ちは本当に大切。
私は無宗教だけど、全ての信仰と神をリスペクトします。

世界のいろんな文化や信仰に触れられる旅に、今日も感謝。

サントリーニ島ピルゴスのイースターまとめ

サントリーニ島 イースター Pyrgos Greek Orthodox Good Friday Procession

ピルゴス村のイースターは、ただの観光行事ではなく、人々の信仰と連帯感に満ちた神聖な体験です。

もしサントリーニ島を訪れるなら、この特別な一夜をぜひ体験してみてください。

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