
世界最北の街ロングイェールビーンに行ってきた!おすすめ観光スポットや行き方を紹介
目次
Toggle北緯約78度、北極圏の扉を開くように佇む街、Longyearbyen(ロングイェールビーン)は「地球の果て」「地球のてっぺん」とも言える場所でありながら、予想以上に温かく、「旅で出会う日常」が息づいています。
石炭採掘のルーツからハスキー犬ぞり体験、永久凍土に掘られた種子貯蔵庫まで、この辺境の北極圏の町は単なる極限の緯度以上のものが存在します。人々の営み、自然、歴史との出会いは、いつまでも心に残る体験となりました。
この記事では、ロングイェールビーンを実際に訪れ、行ってよかったおすすめスポットを紹介します。
ロングイェールビーンの観光MAP
ロングイェールビーンの観光おすすめスポット

ロングイェールビーン(Longyearbyen)には、世界最北の自治体ならではの野生と人の営みがギュッと凝縮されています。
氷・雪・炭鉱・教会・博物館・ハスキー犬etc…それぞれのスポットで「人と自然の接点」が感じられる旅先です。
①Svalbard Museum(スヴァールバル博物館)

ロングイェールビーンの中心部にあるスヴァールバル博物館(Svalbard Museum)は、400年以上にわたるスヴァールバル群島の歴史、捕鯨・炭鉱・自然・野生動物の生態までを幅広く展示しています。

館内では、南極・北極探検の史料、極地研究の歴史、さらに炭鉱で暮らした人びとの暮らしが紹介されており、「極地=非日常」と思われがちな場所で実際に人がどう生きてきたのかを感じることができます。アークティック研究や炭鉱遺構に興味がある人には特におすすめです。
館を出ると目の前には北極圏の雪景色の中、野生のトナカイがのんびりと歩いており、「極地における人と野生動物の共存」という実感が強く残ります。旅の導入として、滞在初日に訪れるのがおすすめです。
②North Pole Expedition Museum(北極探検博物館)

「北極探検博物館」(North Pole Expedition Museum/旧スピッツベルゲン飛行船博物館)は、北極探検・飛行船・極地航空の歴史をテーマにした博物館で、ロングイェールビーンにおける世界最北の探検史をたどるスポットとして興味深いです。
展示には飛行船「ノルゲ」や「イタリア号」などの模型・記録・写真などがあり、北極をめざした人々の情熱と困難が伝わってきます。
私自身、ここを訪れたとき「人類はなぜ、こんなに寒くて過酷な場所をめざしたのか」という問いに引き込まれました。そして、展示の最後には「現在この地で出会う人びと」への言及もあり、旅の好奇心が広がる場になりました。
③Svalbard Brewery(スヴァールバル・ブリュワリー/世界最北の醸造所)

ロングイェールビーンには「世界最北の商業醸造所」として知られるスヴァールバル・ブリュワリー(Svalbard Brewery)があり、氷河の水を使ったビールなどユニークな体験ができます。
ビール好きの間では、一生に一度は飲みたいビ―ルとの評判もあり、この醸造所はぜひ立ち寄り候補に入れて欲しい場所です。

訪問するには予約が必要で、テイスティングツアーでは工場の見学と5種類のクラフトビールを味わうことができます。
もちろん追加の購入もOKで、オリジナルグッズの販売もしています。
世界各国のビール好きが集まり、ワイワイ話しながらのテイスティングは格別。ガイドさんから聞く、自然の話や地元の生活も興味深いものでした。
④Svalbard Global Seed Vault(スヴァールバル世界種子貯蔵庫)

ロングイェールビーン北西の丘陵地に設けられているスヴァールバル世界種子銀行(Svalbard Global Seed Vault)は、世界中の農作物の種子を保存する「未来への保険」とも言える施設。
中には入れませんが、外観とここからの風景を眺めるだけでも特別感を感じられます。

ガイドさんの言葉「この土地に来た旅人が未来を考えるきっかけになれば」という一言も印象的でした。
この博物館を訪れ、その意義を聞くことで「世界をつなぐ」取り組みについて考える時間はとても貴重なものになるでしょう。
⑤Adventdalen(アドヴェントダーレン渓谷/氷河と野生の自然)

町から少し外れたアドヴェントダーレン(Adventdalen)は、渓谷・山々・氷河のふもとを走るトレイル・スノーモービルルートがあり、ロングイェールビーンの自然との距離感を味わえるスポットです。

レンタルスノーモービルを使用したツアーでは、トナカイや北極キツネが雪の中で動く姿を目撃しました。
ガイドが「ここでは人よりクマの数が上回る」と冗談交じりに話したのが、記憶に深く残っています。自然の迫力、そして人間の存在の小ささを感じる場所です。
⑥Svalbard Church(スヴァールバル教会)

世界最北の教会として知られるスヴァ―ルバル教会(Svalbard Church)。外観は小さく控えめですが、内観は木の温度が感じられ、静かな時間が流れる落ち着ける場所です。

高台にあるため、ロングイェールビーン全体が見渡せる絶景スポットでもあり、街の灯が遠くで薄く瞬く景色は、人が住んでいる限界線を感じられます。
この教会は、宗教のためというよりも、人の心を保つための役割が強いと感じる場所でした。宗教の分け隔てなく、いろいろな人に訪れて欲しい教会です。
⑦Norway Post(世界最北の郵便局)

ロングイェールビーンには「世界最北の郵便局(The Northernmost Post Office)」がある、と言いたいところですが、正確にはここは世界最北ではなく、2位。
最北は同じくスヴァールバル諸島のスピッツベルゲン島にある町、ニーオーレスン(Ny-Ålesund:民間人が定住する地としては世界最北)にあるのですが、冬の間は行くことが出来ず、私の行った初春も、アクセスできず断念。
とはいえ、この郵便局も観光客の最北スタンプラリーの象徴的スポットとして人気です。
建物自体はこぢんまりとしていますが、店内にはスバールバル(Svalbard)デザインの限定ポストカードや消印があり、ここで投函しただけで旅の記憶に実在の“物証”が残る感覚があります。
地球のてっぺんで誰かを想い(もちろん自分あてでも!)、手紙をだしてみるのも良い思い出となるでしょう。
⑧Svalbard Airport, Longyear(スヴァールバル空港/ロングイェール空港・世界最北の空港)

ロングイェールビーンの玄関口となる「Svalbard Airport, Longyear」は、商用路線が就航する空港として世界最北の位置にある空港です。ターミナルはこぢんまりしているものの、ここに降り立つ瞬間、最北へ来た実感を一気に受け取ることでしょう。
着陸前の窓の下に白い氷脈のように湾曲する海面と、白の縞状に濡れた大地を見ることができます。その瞬間は、緯度78度を視覚で理解した気分になること間違いなし。

空港から街までは車で数十分。地理的には端なのに、意外なほど生活圏がすぐそこに存在するというこのギャップが北極旅の第一印象を鮮明に刻みます。
飛行機のタラップを降りた瞬間の空気の密度は、たぶん一生忘れられないものになるでしょう。
⑨Coal Cableway Centre(コールケーブルウェイセンター/旧石炭搬送ケーブルステーション)

ロングイェールビーンの産業史を象徴する遺構が、このケーブルウェイ(Coal Cableway Centre)。かつて街の山肌に点在する鉱山から石炭(Coal)を海岸へ運び出すための搬送ケーブルステーションで、今も巨大な鉄骨フレームがそのまま空に静止し、風化したパーツが北極の風に鳴ります。
観光地化された“展示施設”というより、街そのものに溶け込む産業の痕跡に近い存在。

錆びた鉄の線が空へと伸びていく景色はドラマチックな雰囲気。まるでこの地球は人の計画よりも自然の時間が長いと示しているかのよう。
繁栄と衰退、生活と労働、その全てが北極の静音の中で今もそこにある現場証拠であると示しているような場所です。
⑩Gruve3(グルーヴェ3/旧炭鉱跡の坑道ツアー)

ロングイェールビーンで内部まで見学できる産業遺産のひとつ、旧炭鉱「Gruve 3」。かつて実際に石炭を掘っていた坑道へ、ヘルメットとヘッドライトをつけて入るツアーが開催されています。
博物館やケーブルウェイのように外から眺める遺構とは異なり、ここではかつて働いていた人の視界を自分の身体で追体験することができる特別なスポットです。
狭い坑道に響く鉄の軋み、肌を刺すような冷たい湿気。ヘッドライトの光が岩肌に跳ね返るたび、北極の大地がただの氷原ではなく、重なり合う地層として迫ってくるように感じられます。
坑内は数十センチ先も見えないほどの暗闇に包まれ、圧迫感とともに張りつめた空気が漂います。静けさというより、今も残る労働の音の余韻。その重みが、この地で生きた人々の現実を静かに伝えています。観光という枠を超えて、北極の労働の温度に触れられる貴重な場所です。
⑪Svalbardbutikken(スヴァールバルスーパーマーケット)

ロングイェールビーン唯一の大型スーパー「Svalbardbutikken(The Northernmost Supermarket)」は、世界最北の生活インフラそのもの。観光客にとってはお土産店でもあり、住民にとっては日常の中心でもあります。
食品・衣料・雑貨・お菓子・スバールバル限定柄のグッズまで幅広く並び、たとえばTINEのバターやチョコレート、北極ならではの防寒小物も揃っています。

スヴァ―ルバルでの外食は高いので、私はここで食材や併設されているリカーショップでビールやワインを買い込んで自炊していました。
欲しいものが何でも揃う便利で頼りになる存在。外は氷点下でも、街には生活があるというリアルが伝わるほっと休まる憩いの場所です。
ロングイェールビーンのおすすめレストラン
せっかくこんな地の果て、地球のてっぺんに来たなら、北極グルメを味わはなければ損!行っておきたいおすすめレストランを紹介します。
⑫NUGA Sushi & Noodles(世界最北のお寿司屋さん)

ロングイェールビーンには「世界最北のお寿司屋さん(NUGA Sushi & Noodles/The Northernmost Sushi Restaurant)」があると聞きつけ行ってみました。
それほど味に期待はしていなかったのですが、意外のほかクオリティの高いネタと美しい盛り付けが普通に出てきてびっくり!

私は握り寿司を頼みましたが、脂のノリが良く、北極の海がただ厳しいだけではないという事実を舌で理解した瞬間でした。
外は吹雪ぎみでも、店内は柔らかい照明と人の声が溶け合い「極地にある日本の味」が妙に優しく感じます。旅の中でこういう予想外の期待以上に出会えることも醍醐味のひとつです。
⑬Cafe Huskie(ハスキーカフェ)

2匹の看板犬がいる世界最北級のハスキーカフェ(Cafe Huskie)。運がよければ犬たちと一緒にまったりとした時間を過ごせます。それは犬たちの気分次第。
コーヒーの香りと、犬ぞり文化を支える犬たちの生活圏が混ざり合う空間は、まさに極地ならでは。少し高めの値段設定ですが、コーヒーも食事も美味しいです。

ギフトショップも併設されており、私はここでマグカップを購入。今でも家で使うたびに北極の空気を思い出しています。
観光写真だけでは得られない生活がある街のリアルを体験してみてください。
⑭Huset(フーセット/世界最北のナイトクラブを内包するレストラン)

フーセット(Huset)は、レストラン、ワインセラー、クラブフロアを持つ複合施設。石炭採掘時代から労働者の社交場でした。ここも世界最北のナイトクラブとして有名です。鹿料理も美味しいと評判!

グラスを片手に「北極の夜の静けさ」を感じるのもなかなか乙な体験。観光客より駐在者が多い夜もあり、北極生活の素顔を垣間見れる場所です。
ロングイェールビーン発のおすすめツアー

ロングイェールビーンでは、以下のようなツアーが特に人気です。
- ハスキー犬そり体験&極夜のオーロラ探し(冬季)
- 氷河洞窟探検&スノーモービル(冬末~春)
- ボートクルーズ&野生動物ウォッチング
- 鉱山見学&町のガイド付き散策「Longyearbyen in a nutshell」
スヴァ―ルバルのツアーや基本情報は、ほぼこのサイトが網羅しています。旅行前に要チェックです。
スヴァ―ルバル公式ガイド:https://en.visitsvalbard.com/
ベストシーズン

ロングイェールビーン(Longyearbyen)を訪れるベストシーズンは、 夏(5月下旬〜9月) と 極夜期・早春(10月〜3月) がそれぞれ魅力を持っています。
夏は空が澄み渡り、氷河ウォークやボートクルーズ、野生動物観察が楽しめます。白夜が続くので行動時間が長くとれる利点も。
冬の11〜2月はオーロラ観賞のチャンスが広がり、氷洞・スノーモービルといった極地体験に最適です。

暗闇の北極は静寂の宇宙のよう。初めてなら夏、2回目以降に極夜がおすすめ。
私が訪れたのは春先(3月)。まだ度々吹雪にもなっていて、行きたかったは、世界最北の民間人が住む町ニーオーレスンへはアクセス不可能でした。残念。とはいえ、観光客もそこまで多くなく、のんびり過ごせて私的には良かったと思っています。
旅の目的に合わせて、自然体験/探検体験を狙う時期を選びましょう。
ロングイェールビーンのおすすめホテル
ロングイェールビーンのホテルは、大型ではなくこじんまりしたロッジタイプのホテルが主。そのため、人気のホテルはすぐに満室になってしまうので、旅が決まったら、まずは先にホテルの予約をしましょう。
タウン中心に近いホテルだと25,000~60,000円くらい。タウンから少し離れると、15,000円くらいからあります。
イエストフーセット 102 (Gjestehuset 102)
私は滞在が長かったので、一番安いホステルをチョイス。人の居住区の限界、一番端にあるイエストフーセット 102 (Gjestehuset 102)に宿泊しました。
端っこではありますが、タウンまで歩いて12分くらい(私歩くの早いので平均だと15分くらい)。吹雪の日でもスーパーで買い物して行き来きしていたので、問題ない距離です。
飛行場からのシャトルバスの最終地点、かつ始発点なので便利です。
バックパッカーの利用が多いため、いろいろな国の人たちとキッチンやラウンジで気軽に話せる良い雰囲気。シャワールームも広くて清潔。朝ごはんもめっちゃ美味しかったです。
レセプションの人たちがツアーの予約など手伝ってくれますよ!
ロングイェールビーンを楽しむコツ

極地であるここは、他とは少し違ったポイントがあります。現地のルールにのっとり、安全で快適な旅をするために必要な情報を紹介します。
観光中のマナー

- 観光地というより生活地という敬意を払う気持ちを忘れずに!
- 北極圏らしく、野生動物(特にクマ・キツネ・トナカイ)への接近は禁止または厳重な注意が必要です。
- 街を少し離れると通信・救護体制が限定されるため、ガイド付きツアーへの参加を強くおすすめします。
- ゴミの持ち帰り、自然環境への配慮が求められる地域です。
便利な持ち物リスト

- 防寒+防風のアウター(風が強く体感温度が低めです)
- 耐水仕様のブーツやグローブ(春の雪解け時期や氷上歩行用)
- 着脱しやすい重ね着(白夜・極夜どちらも対応できます)
- 双眼鏡・カメラ(野生動物や氷河の細部観察に便利)
- 万一のために保険加入(医療救護体制が限定されるエリア)
Lapinの旅行記:ロングイェールビーン編

【地球のてっぺん、スヴァールバル諸島】
人が定住する最北の地といわれ、北極圏内に位置するスヴァールバル諸島。
ノルウェー領になっているものの、スヴァールバル条約により、条約加盟国の国民はビザなしで居住することができ、働くこともできる。日本も加盟国なので、ビザがなくても移住が可能。

氷河やフィヨルド、野生動物の観察や科学研究、そして冒険の活動拠点となるスピッツベルゲン島、最大の街ロングイェールビーンには、50カ国の約2500人が暮らしている。
軍事活動は禁止されており、国籍の区別なく人と自然が調和しながら暮らしていることが住民の誇り。

緯度の高い極北のこの地では、夏季には白夜、冬季には極夜になり、オーロラベルトよりも高い位置にあるため、オーロラは見えるときもあるけれど頻繁ではない。
私が訪れたのは極夜が終わり白夜になる直前の4月前半。1日中、真っ暗になることはなく、真夜中でも薄明るくブルーライトの見える時期。
この滞在中にオーロラを見るチャンスはなかった。残念。

人間よりもホッキョクグマの数のほうが多く、街から郊外に出るときは銃の携帯が義務付けられている。
ホッキョクグママークの看板が目印。銃なしでは1人で郊外へ出てはいけない。

トナカイはどこにでもいた。自由にのびのび雪の中から草を見つけて食べている。ここでは野生動物のほうが主役。私たちは野生の邪魔をしてはいけない。
どこに行ってもほとんどのものが世界最北。世界最北の空港、学校、教会、郵便局、お寿司屋にスーパーマーケット、そしてもちろんビール工場。世界最北ブルワリーで北極ビールも堪能(笑)

世界最北の街、意外に快適。
ここへきた目的は2つ。
1つは北極キャンプに参加すること。
もう1つはここを知るきっかけになった人物に会い、話しを聞かせてもらうこと。
学びの多かった極北の島、スピッツベルゲン。レポは続きます。
ロングイェールビーン観光のまとめ

ロングイェールビーン(Longyearbyen)は、極北という遠さや過酷さだけで語られる場所ではありません。
人びとの暮らし、探検の歴史、そして野生と向き合う住人の姿が、街のあらゆる角にあります。炭鉱の町としての過去、種子銀行や醸造所の現在、氷河や北極圏の自然という圧倒的なフィールド—それらすべてが「日常のドラマ」です。
ここで出会う景色や極地で挑戦を続ける人々との交流は、人生に深い意味をもたらすでしょう。
ぜひ、この最北の街で「忘れられない旅の瞬間」を探してみてください。
※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。
可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。
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