カスピ海フェリー横断!トルクメニスタンからアゼルバイジャンへ海路移動の体験記
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Toggle子どもの頃、「カスピ海」という名前の響きに強い憧れを抱いていました。その夢を叶えるべく、トルクメニスタンからアゼルバイジャンへの移動はカスピ海をフェリーで横断しようと計画。事前情報があまりなく不安でしたが、結果的にこの旅は、ただの移動手段ではなく、多くの学びと出会いをもたらしてくれた忘れられない体験となりました。
この記事では、そのときの体験をご紹介します。
トルクメニスタンのフェリー乗り場
フェリー乗り場は、トルクメンバシのTrain-ferry Terminalからです。アシバガードから電車でくる場合、駅からフェリー乗り場までシャトルバスを利用することができます。
フェリー横断までの道のり
トルクメニスタンの首都アシガバートから、カスピ海沿岸のトルクメンバシまでの移動は寝台電車を利用。 いろいろな国の寝台電車に乗ってきましたが、ここの寝台は一番安いクラスの3段ベットの真ん中という位置にもかかわらず、予想以上に快適でした。
写真でみると真ん中が一番狭くて落ち着かなさそうですが、下段は上段と真ん中の人が堂々と座るので、それはそれで微妙。
部屋の外の通路には折り畳みの机と椅子があるので、一息もつけて問題なしでした。
トルクメニスタンの闇レート事情
世界でたまに遭遇する闇レート。 トルクメニスタンにもそれが存在します。
国の公定レートは1ドル約3.5マナト。 ですが闇レートでは1ドル10マナト~20マナトという3倍から7倍のレートで取引されています。
私が訪れた時は、外国人が両替できるのは10マナトが相場。(変動がかなり激しいです)最初の両替はウズベキスタンの国境で、ドライバーに10マナトで両替してもらいました。
途中でマナトが少くなり、再度両替が必要になったのですが、アシバガードには表立った両替所がありません。銀行で両替すれば大損になってしまいます。
私は仲良くなったトルクメニスタン人がわざわざタクシーで一緒に両替に行ってくれて(両替所ではなく、公園内にあった売店)1ドル15マナトという高レートでゲットできました。
このとき、寝台料金は36マナトだったので、2.4ドル(270円)くらいで乗れてしまったことになります。 ところがこれをドルで払うとすると公定レートが適用され10.3ドルも払わなくてはいけなくなります。いくらで両替するかで値段が4倍も変わってしまいます。
今回は元のコスト自体が安かったので、いくらで両替をしたとしても私たち旅行者にはそれほど大きなダメージはありませんが、住んでいる人たちにとっては大問題です。
トルクメニスタンではUSDへの両替が出来ないのです。 それもそのはずで、闇レートで1ドル20マナトで交換しているのに、公定レートの3.5マナトでUSDを売れるはずがありません。 トルクメニスタンの人々は外貨を買うにはアゼルバイジャンまで出ていくしか手段がなく本当に困っていました。
このような闇レートがある国が世界には意外に多いですが、知ってると知らないとでは雲泥の差がでます。今までレート差が特にひどかったのはベネズエラ・・・。
軽く10倍は違っていました。
カスピ海フェリーの待機と出発
トルクメンバシの港に到着後、フェリーは不定期運航であるため、出発までただひたすら待つしかありません。そこには、既に5日もフェリーを待ち続けているトルクメニスタン人たちがいて、彼らの話を聞く中でその背景にある経済的な課題を知ることができました。
トルクメニスタンのフェリーとアゼルバイジャンのフェリーがあるのですが、 アゼルバイジャンのフェリーはUSDでしか払えないのでトルクメニスタン人にとっては高額になります。 そのため、彼らのほとんどはトルクメニスタンのフェリーを待つしかありません。
逆に外国人にとってはトルクメニスタンのフェリーはアゼルバイジャンのフェリーよりも高い設定になっています。
フェリー待ちをしている時に、たくさんのトルクメニスタンの人たちと友達になり、話したり遊んだりできたので、待ち時間はそれほど苦ではなかったです。
「自分の国は少し閉鎖的だからそれをわざわざ来てくれるのは嬉しい」とか 「自分の国が好きだけど、政治とお金は少しおかしい」とか、いろいろ教えてくれました。
来るまでは独裁国家のイメージで、閉鎖的で寡黙な人々ではないのかなと思っていましたが、トルクメニスタンの人々は優しくて明るくて人懐っこい素敵な人々ばかりでした。
フェリー乗船とカスピ海の横断
私が訪れた日は運よくトルクメニスタンのフェリーが夕方に出航。
私が乗るアルジェリアのフェリーもその日の夜に出発しました。
乗船時、友人になったトルクメニスタン人が「あなたのフェリーもすぐ来るから安心してね」「また来てね」「健康に気をつけてね」と口々に優しく声をかけてくれたのが心に残っています。
お隣のウズベキスタンでも、以前は闇レートが存在していましたが、2018年に闇レートに合わせる形で公定レートが改正されました。トルクメニスタンの政治がもっと国民の生活を重視したものに代わり、安定した日々が訪れることを祈ります。
さよならトルクメニスタン
Pray for the Turkmenistan
いざ!カスピ海横断
やっと乗船できた~とほっとしたのつかの間。
乗って気がついた!やばい!このままではアゼルバイジャンのビザ有効日より1日早く着いてしまう!!
フェリーがこんなにすんなり乗れると思わず、ビザの日付を遅めに設定してました・・。
やばいー。フェリー遅れて!と願いながら眠ったら、本当に目が覚めてもまだトルクメニスタンでした。(笑)
運良すぎ?
昨晩出航しなかった理由は不明のまま・・
なにはともあれ昨晩フェリーに乗れて、お部屋のベッドで眠れただけでもありがいです。そうでなければ、待合室のベンチ泊になるところでした。
そしていよいよ本当に出航です。結果的にビザの帳尻尾もあったし、いいことづくめ。
安心して広大なカスピ海の景色を眺めながら、旅のロマンを満喫します。
出発が遅れたのでフェリーで2泊になりましたが、お部屋も清潔だし眺めも抜群。あと2~3日かかっても文句ないくらい快適です。
子どもたちに折り紙教えたり、乗組員さんたちとおしゃべりしたり、おしゃれで元気なおばさんたちと笑い合ったり。本当に至福の時間を過ごせました。
とにかく出会う人出会う人みんな優しくて不快指数0です。
そういえば、カスピ海の大きさってちょうど日本と同じくらいだそうです。知ってました?
神様がプレゼントしてくれたような時間はあっという間。気がつけばもうアゼルバイジャン。この船旅本当に良かったです。
スケジュールがかなり変動するのだけがマイナスですが、時間に余裕がある人はぜひこのルートを試していただきたいです。きっとたくさんのふれあいができると思いますよ!
実用情報:カスピ海フェリーを利用する際のポイント
旅行好きにとって、トルクメニスタンからアゼルバイジャンへのカスピ海フェリー横断は特別な体験です。
かなり柔軟な体制で挑まなくてはいけませんが、フェリーを利用する際に多少は?役立つ情報をまとめました。
1. 運航ルートと頻度
主なルート:トルクメンバシ港(トルクメニスタン)– アラト港(アゼルバイジャン)
運航頻度:不定期のため、フェリーターミナルで情報を確認する必要があります。
2. チケットと費用
チケット購入は現地のターミナルで行います。
支払いはトルクメニスタン側は現地通貨、アゼルバイジャン側はUSDが一般的です。
3. 乗船準備
必要書類:有効なビザ、パスポート
持ち物:軽食、飲み物、簡易な寝具(フェリー内の設備が限られているため)
フェリーターミナルでは長期待機になる可能性が高いので、スナック類は多めにもっていたほうがよいです。自分のためでもあり、現地の人たちとのコミュニケーションをとるのに役立ちます。
4. アラト港到着後
アゼルバイジャン入国後は、港からバクー市内までタクシーかシャトルバスを利用できます。
港から市内中心部までは約1時間。
- アゼルバイジャンはビザが必要です。ネットでE-Visaが申請できるので簡単にとれます。フェリーの遅延も見込んで余裕ある日数で取るようにしましょう。
カスピ海フェリー横断のまとめ
この旅を通して、トルクメニスタンの人々の温かさやカスピ海の壮大さを体感しました。一方で、現地の経済的な問題や国際的な課題にも触れることができました。
トルクメニスタンとアゼルバイジャン、そしてその間に広がるカスピ海。この地を旅することでしか味わえない感動があることを、ぜひ多くの人に知ってほしいと願っています。