
テルメズ観光人気スポット10選!ウズベキスタンの仏教遺産を巡る旅
目次
Toggleウズベキスタン南部、アフガニスタンとの国境近くに位置するテルメズ(Termez)は、中央アジアでも最も古い都市の一つです。
古代仏教遺跡やイスラム建築が融合するこの街は、シルクロードの要所として発展しました。
実は日本ともゆかりのあるテルメズ。この記事では、テルメズの歴史や見どころを紹介します。
テルメズとは?

テルメズ(Termez)は、ウズベキスタン南部、アフガニスタン国境沿いに位置する古都で、シルクロードの重要な拠点でした。
紀元前4世紀にアレクサンドロス大王によって築かれ、その後、多様な文化や宗教が交錯する都市へと発展しました。
なぜイスラム国家に仏教遺跡が?

テルメズには、ファヤズ・テペやカラ・テペなどの仏教遺跡が残っていますが、これはこの地域がクシャーナ朝(1~3世紀)の支配下にあったためです。
クシャーナ朝はインドから仏教を受け入れ、中央アジアに広めました。当時、テルメズは仏教僧院が立ち並ぶ学問の中心地でもありました。
その後、7~8世紀にイスラム教が伝来し、仏教は衰退。多くの仏教寺院は破壊されましたが、一部は砂に埋もれたため、現在も遺跡として残っています。
現在のテルメズはイスラム文化が中心ですが、仏教遺跡が発掘されたことで、かつて多様な宗教が共存していたことがわかります。
テルメズと日本の関係

テルメズは、日本とも歴史的なつながりがあります。特に、仏教遺跡の発掘調査において日本の研究者が関与し、カラ・テペやファヤズ・テペの調査に貢献しました。
また、日本とウズベキスタンの文化・経済交流の一環として、学術や観光分野での協力も進められています。両国の友好関係の一端を担う都市です。
テルメズの観光MAP
①カンプィル・テペ(Kampyr-Tepe)

カンプィル・テペ(Kampyr-Tepe)は、紀元前4世紀にアレクサンドロス大王時代の都市として築かれ、シルクロードの交易拠点として繁栄しました。
後にクシャーナ朝の影響を受け、ギリシャ・ペルシャ・インド文化が交わる多文化都市として発展。現在は城壁や塔、交易の跡が残り、発掘が続く歴史的に貴重な遺跡です。
②カラ・テペ(Kara-Tepe)

カラ・テペ(Kara-Tepe)は、2~4世紀に栄えた仏教僧院遺跡で、シルクロードを通じてインドから伝わった仏教が広まった証です。
石をくり抜いた洞窟僧院やストゥーパが点在し、当時の僧侶たちの修行の様子をうかがえます。発掘された仏像やレリーフから、テルメズが仏教文化の中心地であったことが感じられる貴重な遺跡です。
③ファヤズ・テペ(Fayaz-Tepe)

ファヤズ・テペ(Fayaz-Tepe)は、紀元1~3世紀に建設された仏教僧院で、テルメズの仏教文化を象徴する遺跡の一つです。ここでは、精巧な仏像やストゥーパの遺構が発見され、壁画には当時の仏教徒の生活が描かれています。
特に、かつて中央アジア最大級だった仏陀の塑像は必見。仏教がシルクロードを通じて栄えた証として、今も多くの歴史好きな人や信者の人が訪れる場所です。
④アル・ハキム・アット・テルメズ廟(Al Hakim At-Termizi Mausoleum)

アル・ハキム・アット・テルミズ廟(Al Hakim At-Termizi Mausoleum)は、9世紀の著名なイスラム学者で神秘主義思想家でもあったアル・ハキム・アット・テルミジを祀る霊廟です。テルメズの聖地の一つとして、巡礼者が多く訪れます。
アル・ハキムは「賢者」という意味をもつあだ名だそう。
青いドームと精巧な装飾が特徴的な建築で、静寂な雰囲気が漂います。イスラム神秘主義(スーフィズム)の歴史と精神を感じられる重要な場所です。
⑤スルタン・サオダット建築コンプレックス(Sultan Saodat Complex)

14世紀に建てられたスルタン・サオダット廊(Sultan Saodat Complex)は、テルメズで最も美しいイスラム建築の一つです。
ティムール朝時代の名家が眠る霊廟で、美しいタイル装飾と精巧なレンガ造りが特徴。スルタン・ソダット 「聖者の霊廟」という異名もあります。
現在も地元の人々の信仰の場として利用されており、静寂に包まれた神聖な雰囲気が漂います。イスラム建築の美しさと歴史の重みを同時に感じられるスポットです。
⑥キルク・キズ要塞(Kirk Kiz Fortress)

キルク・キズ要塞(Kirk Kiz Fortress)は、テルメズ近郊にある9~10世紀の要塞遺跡で、「40人の乙女の城」とも呼ばれます。
四角形の構造を持ち、かつては宮殿や軍事施設として使用されていました。壁や塔の一部が現存し、優れた建築技術がうかがえます。
要塞の由来にはさまざまな伝説があり、テルメズの歴史と神話を感じられるスポットです。
⑦ヴォロタ・アト=テルメジ(Vorota At-Termezi)

ヴォロタ アット テルメジ(Vorota At-Termezi)は、文化的な重要性が詰まった印象的な歴史的建造物です。
この古代の門は、複雑なレンガ造りと壮大なアーチを備えており、この地域の建築の輝きを証明しています。
城壁の遺構は往時の繁栄を偲ばせ、かつて交易や軍事の中心地だったことを物語ります。
⑧コキルドル・オタ・ハナカ(Kokildor Ota Khanaka)

コキルドル・オタ・ハナカは、テルメズにある14世紀のスーフィー教団(イスラム神秘主義)の修行僧が集まる宗教施設です。ティムール朝時代に建設されたとされ、美しいイスラム建築が特徴です。ハナカ(修道場)はスーフィー僧たちの学びと瞑想の場であり、テルメズの精神的・宗教的な中心の一つでした。現在も巡礼者が訪れ、静寂な雰囲気が漂う歴史的な名所です。
⑨ジャルクルガン・ミナレット(Jarkurgan Minaret)
12世紀に建設されたジャルクルガン・ミナレット(Jarkurgan Minaret)は、高さ22メートルの塔で、その独特なデザインが目を引きます。
他のイスラム建築とは異なり、円柱が波打つような独創的なレンガ装飾が施されており、中央アジアでも珍しい建築様式です。
長い年月を経てもその美しさは健在で、歴史好きや建築ファンには必見のスポットです。
⑩アム・ダリヤ川(Amu Darya River)

アム・ダリヤ川(Amu Darya River)はテルメズの南を流れる大河で、ウズベキスタンとアフガニスタンの国境を形成しています。
古代からシルクロードの要所として重要な役割を果たし、多くの文明が交差しました。テルメズからは雄大な流れを眺めることができ、対岸のアフガニスタンの風景も望めます。歴史と自然が交わるこの川は、テルメズの象徴的な存在です。
テルメズ観光の日数

テルメズは見どころがコンパクトにまとまっているため、1~2日あれば主要な観光スポットを巡ることができます。
日帰り(1日):主要な遺跡や博物館を効率よく回る短時間プラン
1泊2日:郊外の遺跡までじっくり巡り、テルメズの歴史を深く学ぶプラン
歴史や遺跡に特に興味がある場合は、2日かけてじっくり回るのがおすすめです。
テルメズへの行き方

テルメズはウズベキスタン南部、アフガニスタンとの国境近くに位置する都市で、タシケントや他の主要都市からアクセス可能です。
1. 飛行機でのアクセス
タシケント国際空港(Tashkent International Airport – TAS) からテルメズまでの直行便が運航しています。
所要時間:約1時間30分
航空会社:Uzbekistan Airwaysが運航
空港:テルメズ空港(Termez Airport – TMJ)
テルメズ空港から市内へは、タクシー(約15分)を利用するのが便利です。
2. 列車でのアクセス

タシケント、サマルカンドからテルメズまでの長距離列車も利用可能です。
所要時間:14~17時間
運行本数:週に数本
車両タイプ:寝台車、座席車あり
夜行列車を利用すれば、翌朝にテルメズへ到着できます。長時間の移動になるため、快適に過ごすなら寝台車の利用がおすすめです。
私はサマルカンドから寝台で行きました。
ウズベキスタン鉄道公式サイト:https://railway.uz/en/
3. バス・タクシーでのアクセス
サマルカンドやブハラから長距離バスやシェアタクシー(相乗りタクシー)が利用可能です。
サマルカンド~テルメズ:約8~10時間
ブハラ~テルメズ:約9~11時間
料金:バスは安価だが時間がかかる。シェアタクシーは速いが割高。
タシケントや他の主要都市からのアクセスを考えると、飛行機か列車が最も便利な選択肢です。
テルメズの治安

テルメズはウズベキスタン国内では比較的安全な都市ですが、アフガニスタン国境に近いため、警戒が必要なエリアもあります。観光時には身分証を持ち、治安情報を確認しながら行動しましょう。
1. 治安状況
一般的な治安:テルメズ市内は基本的に安全で、通常の観光であれば問題ありません。ウズベキスタンの治安機関が厳しく管理しており、大きな犯罪は少ないとされています。
国境エリアの注意:アフガニスタンとの国境が近いため、一部の地域では警戒が必要です。国境周辺への立ち入りは避けましょう。
夜間の外出:夜間の外出はできるだけ控え、特に人通りの少ない場所を避けるのが賢明です。
2. 観光時の注意点
パスポート携帯:テルメズでは警察のチェックポイントが多いため、パスポートを常に携帯することが推奨されます。
撮影の制限:国境エリアや軍事施設の撮影は禁止されているため、写真を撮る際は注意が必要です。
スリ・詐欺対策:観光客を狙ったスリやぼったくりに遭う可能性があるため、貴重品の管理を徹底しましょう。
3. 最新情報の確認
情勢が変わる可能性があるため、渡航前に外務省の安全情報や在ウズベキスタン日本大使館の情報を確認することをおすすめします。
Lapinの旅行記:テルメズ編

Uzbekistan ~ガンダーラの入り口、仏教遺跡の宝庫テルメズ~
ウズベキスタンのアフガニスタンとの国境に近いテルメズを訪れました。
この周辺にはガンダーラの入り口として数多くの仏教遺跡が残っています。
テルメズまでは寝台列車をチョイス。
寝具は清潔だし、快適でなかなか良かったです。同じ列に座ったお母さんと娘と息子の3人親子が可愛らしくて、ずっと笑って過ごせました。
インドで紀元前5世紀ころに生まれた仏教が、テルメズ周辺に入ってきたのは紀元前1世紀ころ。 その1世紀から3世紀にかけて、この地で盛んとなり一挙に中央アジアに広がり、中国にまで伝わったと考えられています。
3~4世紀ころ、ゾロアスター教を信仰するササン朝の攻撃でこの地の仏教は一度衰退しますが、その後再び隆盛。この地から仏教が消えたのは8世紀以降のイスラムの進出によるものでした。
ファヤズ・テパの遺跡はユネスコ日本信託基金プロジェクトにより保存修復がなされています。
こういう貴重な遺跡の保護に積極的に支援している日本を世界のあちこちで見かける時は嬉しくなります。 税金は間違えたことばかりに使われているわけではないんですね。 (って私長いこと日本に税金払っていませんが・・すみません。。苦笑)
テルメズはアフガニスタンとの国境にあり、まだあまりメジャーな観光地ではないので外国人に対して閉鎖的なのでは?と来るまでは少し心配でしたが、逆に外国人が珍しいようで本当にみんな親切で歓迎してくれました。
前回も書いたように、道を歩いていると必ず誰から声をかけてくれて送ってくれます。行きはバスに乗っても、移動や帰路は誰かの車に乗り、通じないはずの言葉で会話がはずみ楽しい時間を過ごせました。
どうしてここへ来たの?テルメズはどう?と自分の町に興味を持ってやってきたことに対して本当に喜んでくれているのが好感でした。
国境に近すぎて今は入れないカラ・テパ遺跡などもありますが、イスラム文化の中で今なお残る仏教の遺跡を見て周れたことは貴重な体験になりました。
宗教の移り変わりも文献を読んでいるとなかなか面白いです。 大昔から何かしらの宗教が人に根付いているということは、人は常に何かに縋り、祈り、委ね、拠り所にするものが必要なのかなと考えたりしました。
テルメズ観光のまとめ

テルメズは、仏教、イスラム、ギリシャ・ローマの影響を受けた独自の文化が残る貴重な街です。
歴史好きにはたまらないスポットが多数あり、シルクロードの壮大な歴史を感じられる旅になるでしょう。


You May Also Like

「世界の果て」に行ってきた!サウジアラビアの絶景Edge of the world観光レポ
2023年8月19日
コートジボワールの秘境!大自然に包まれたマンの絶景を探る|感動体験レポ
2024年9月5日