未承認国家ソマリランドは危険か、治安調査と観光のため入国する女
アフリカ,  ソマリランド,  北アフリカ

未承認国家ソマリランドに行ってみた|治安・ビザ・入国のリアルを実体験で解説

最終更新日:2026年4月4日

アフリカのツノと呼ばれる位置にある未承認国家ソマリランド

紛争の末ソマリアから独立したものの、国家承認している国がないため、国際的にはソマリアの一部。けれど、独自の政治と通貨を持ち、事実上は独立しているという、たいへん位置づけが難しい独立国家です。

今回は、そんな謎に包まれたソマリランドを訪れたときの実体験を元に、どんな国なのかリアルを紹介していきたいと思います。

ソマリランドの基本情報

ソマリランドの学校 アフリカの子どもたち

人口:ソマリランドの推定人口は約450万人(2023年時点)。

首都:ハルゲイサ(英: Hargeysa アラビック:هرجيسا)

言語:主要な言語は ソマリ語 と アラビア語。また、英語も行政や教育、ビジネスの場で使用されることが多いです。

宗教:ソマリランドの住民のほぼ全員が イスラム教(スンニ派) を信仰しています。

時差:ソマリランドは 東アフリカ時間(EAT) に属しており、協定世界時(UTC)より +3時間 です。夏時間(DST)は適用されません。

通貨:ソマリランドでは ソマリランド・シリング(SLSH) が使用されています。ただし、米ドルも広く流通しています。

気候:ソマリランドは 乾燥帯のステップ気候(BSh)で、暑く乾燥した気候が特徴です。年中暑い日が多く、雨季は年に2回、春(3月~5月)と秋(9月~10月)にわずかに雨が降ります。沿岸部は非常に暑く、内陸部は若干涼しいです。

国際的立場:ソマリランドは1991年にソマリアから一方的に独立を宣言した自治的な地域ですが、国際的には未承認のままです。独自の政府、通貨、国境管理を維持しています。

ソマリランドのビザ

ソマリランドのビザ アフリカの未承認国家
Togwuchalie, Harerge, Ethiopia

ソマリランドへ行くにはビザがいります。ソマリランドのビザは、正式国家ではないため世界で9カ国にしかない連絡事務所でビザ申請することになります。

私はエチオピアで申請したのですが、謎の国家なのでどれだけビザ審査が厳しいのだろうと思っていたら、写真は2年前のショートカットのものでもすんなりOK。滞在先を決めてなくてまごついていたら、受付の人が「Hotelって書いとけばいいわよ」といって、さっさと書いてくれてびっくり。

そんな適当でいいんかい!とつっこみたくなるくらい適当でした。そして翌日には無事発給。

ところが、受け取ったビザを見ると、国籍にChineseと書かれているではありませんか!
申請書も適当でよかったですが、ビザ発給も適当でした。(笑)

そして、Chineseと書かれたビザの訂正は、「Sorry〜」と修正液で塗って書き直されただけ。
こんなんでちゃんと入国できるのか?入国するまで不安で仕方なかったです。

Embassy of Republic of Somaliland
住所:XQVQ+6MP, Addis Ababa, エチオピア
公式サイト:http://somalilandgov.com/
電話:+251116635921
ビザ申請費:100USドル 現金のみ ※カード不可、他の通貨不可
受付時間:非常にルーズで規則性がないので、つど問い合わせが必要です。

ソマリランドへ入国!未承認国家のイミグレーション

ソマリランド 入国審査 アフリカ

ソマリランドへはエチオピアから陸路で、歩いて入国しました。

到着したのはソマリランドの国境の町Wajaale

修正液で直されたビザのせいで緊張しながら入国したものの、イミグレもめちゃテキトーな上に超ウェルカムムード満載。一気に拍子抜け・・

入国する人も、私と旅友 Danay の2人だけだったので、みんな大盛り上がり。
椅子を出してくれるわ、コーヒー飲む?と聞いてくれるわ、入国審査中の様子を写真撮っていいよーとまで・・。^ ^; え?いいの??まじ!

しまいには、「これソマリランドのお金〜」って審査官が5000シリングくれた・・。こんなアットホームなイミグレは、113カ国目にして初めてでした。

謎の独立国家とか、危険な国なのでは?とネガティブなイメージが強かったのですが、入国したとたん、その不安は一掃されました。

そして、ソマリランドのイミグレーションは日本の協力でできたものだと、あちこちに日本への感謝のシールが貼られていました。日本人としては誇らしく嬉しいものです。

ソマリランドの通貨

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Hargeysa, Woqooyi Galbeed, Somalia

ソマリランドの通貨は、自国通貨のソマリランド・シリング (Somaliland shilling)。Slshと略します。 

5000、1000、500、100、50、20、10、5シリング紙幣がありますが、5000、1000はあまり使用されていません。

レートもあってないようなもので、ソマリランド銀行が発表する公式為替レートは、最近では1アメリカ合衆国ドルにつき580 Slsh前後に落ち着いていますが、20年前は4,500 Slshだったそうです。
それを聞いただけでもめちゃくちゃなことがわかりますよね。

小口紙幣は、なかなか嵩張るのであまり持ちたくはない、しかし、街中で使う分には大きな紙幣ではおつりがないと言わることがほとんど。

なので、需要はどうしても小口紙幣になってしまいます。

ソマリランドの首都ハルゲイサの市場の様子
現金山積み状態で並ぶ市場の両替屋さんたち

その結果、見よ!この街角の両替屋さんたちを!

現金山積み!

両替屋さんが道端でこんなに現金をむき出しにしていても平気なくらい平和なんですよ、ソマリランド。

50ドル両替しただけで札束2つほどになりました。しばしミリオネ気分を楽しみます。

ソマリランドの治安

ソマリランドの首都ハルゲイサ アフリカ文化
ソマリランドで唯一エレベーターのある建物 場所: Hargeysa, Woqooyi Galbeed, Somalia

街は全体的に外国人ウェルカムムード。どこでも「写真?いいよー」という感じで気軽にOKしてくれます。写真を撮るというと、怒るかお金をくれと言われることの多いアフリカではかなり珍しい対応です。

危険だからドライバーとソルジャーをセットで雇って行動しなくてはいけない、という指令はほぼ意味がない状況。百聞は一見にしかずとはまさにこのこと。

先ほどのずらっと並ぶ両替屋さんのむき出しの札束をみていても納得できます。

誰もお金を持って逃げようなんて考えないんだろうなあ、というほどのんびり。というか店先の山積み札束を全部持って逃げても、多分全部で10万円にもならないくらいでしょうか。大荷物のわりには上りが少ないので、やる気もなくなるのかもしれません。(笑)

ソマリランドの首都ハルゲイサにある戦闘機のモニュメント
ソマリアから独立するためにたくさんの方が犠牲に。 町の中心には、ソマリランドを襲ったソマリアの戦闘機がモニュメントとして飾られています。

そんな感じで2週間の滞在中、街の中を1人で歩いていても、郊外にいるときも、怖いと思うことは一度もありませんでした。

離れたところでソルジャーが見守ってくれているからかもしれませんが、人の醸し出す雰囲気に、殺伐としたものは感じられず、笑顔で迎えてくれる人たちばかりの印象です。

ソマリアでは先月もテロがあり、たくさんの犠牲者が出ていましたが、ソマリランドがソマリアから独立し、争いのない国づくりを成功させている姿をソマリアも見習うべきだと思いました。

国際社会もソマリランドの残してきている結果を考慮して国と認めてあげて欲しいと思ったりもします。ですが、そういう国が世界には数多く存在しているため、ここを認めてしまうと、世界のあちこちの国の秩序が乱れてしまうとのこと・・。
この意見には残念ながら、納得せざるを得ませんでした。

ソマリランドの食べ物

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ソマリランドの食文化は、地理的、歴史的にいろいろなところの影響を受け、実にバラエティ豊か。

伝統的な遊牧民料理のシンプルで栄養価の高い料理から、イスラム文化やインド洋の交易ルートを通じて伝わったスパイスを使った料理まで、さまざまな食材が用いられます。

ソマリランドの名物料理

ソマリランドの食事、ラクダ肉のピラフ

主食はお米で、バスティ(長粒米)がよく使われます。

他にも、隣国エチオピアの影響を受けた「インジェラ(Injera)」も人気です。しかし、これは酸味のある発酵したパンのようなもので、日本人は苦手かも。私は最初は嫌いでしたが、今は普通に食べれるようになりました。

以下で、実際に食べてみておいしかったソマリランドの代表料理を紹介します。

ラクダ肉:ラクダはソマリランドの伝統的、かつ遊牧民たちに必要不可欠の重要な存在。ラクダの肉は高価で特別な日や祝祭でよく使われています。厚切りにされたラクダの肉をスパイスでマリネして焼くことが多く、ジューシーで風味豊かな味わいが特徴です。

他にも、にんにくやクミン、コリアンダーといったスパイスを使い、トマトベースでゆっくりと煮込んだラクダシチューも美味です。

ふだんは羊肉やヤギ肉を食べることが多く、ファハー(Faahfaah)という羊肉やヤギ肉を野菜やスパイスといっしょに煮込んだ香り高いシチューはまさに国民食。それぞれの家庭やお店で味が違い、外れもほぼないので食べ比べしてみるのもおすすめです。また、ソマリランドの沿岸地域では、魚介類も豊富に獲れるため、新鮮な魚を使った焼き魚やシーフードカレーが美味しかったです。

サンブーサ(Sambusa):三角形のサクサクしたパイで、中にひき肉や野菜、スパイスが詰められています。ラマダンの時期やお祭りの際に特によく食べられ、ソマリランドのストリートフードとしても人気です。町中の屋台で、シナモンやカルダモンが加えられた香り高いシャヒ(Chai)という伝統的なミルクティーと一緒に食している人たちをたくさんみかけました。

また、ラクダミルクは栄養価が高い上に消化も良く、健康にいいため遊牧民の間でよく飲まれています。飲んでみましたが、思ったほど癖はなく飲めるミルクでした。

ソマリランドの食事のマナー

伝統的に、食事は床に座って手で食べることが多く、特に右手を使って食べるのが一般的です。食事は家族や友人とシェアすることが重要視されています。

ソマリランドの日常生活をレポしたこちらの記事もチェックしてみてください。
▶ソマリランド最大規模のキャメルマーケット旅レポ!行き方や見どころを紹介

ソマリランドの日常生活

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謎に包まれてたソマリランドの人々はどのように暮らしているのでしょうか。ここでは、観光地ではなく、リアルで生活する人々をの暮らしぶりを紹介します。

ソマリランド首都:ハルゲイサの生活

ソマリランドの首都であるハルゲイシャでも、街は雑然としていて一部の地区以外はほとんどトタンやテントのような家。つぎはぎだらけの小さな家に家族みんなで住んでいる、というのがほとんどでした。

表通りの一角だけがコンクリートのキレイな家で、経済格差が大きいことが見てとれます。

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— 場所: Hargeysa, Woqooyi Galbeed, Somalia

町は平和で人々も親切、しかし、やはり貧困層は多く、町中で働く子どもたちもたくさんいます。

町中心のモニュメントの周りには、靴磨きをしたりピーナッツを売ったりする子供たちがたくさんいました。

独自通貨に価値がないため、この状況を打破するにはソマリランドの力だけでは不可能です。ソマリランドが安定した平和を保つためには、国際社会の援助が必要だと感じます。

ソマリランド郊外:遊牧民の生活

アフリカの未承認国家、ソマリランド遊牧民の家

ハルゲイサを出ると、どこまでも道のないサバンナが続きます。

道は一応うっすらとはあるように見えるのですが、舗装されていないため少しでも道を外れて走ってしまったら、とんでもないことになりそうです。

何十キロもお店も家も水さえもないところで迷子・・と考えるとぞっとします。GPS様様な世界です。

そして、サバンナをひたすら走り続けると、なぜか2~3時間おきに、なぜここで?というような場所に遊牧民の集落が点在しています。写真のように、布や服で覆ったテントのような家がポツンポツンと固まっているんです。

電気水道ガス、まったくなし。水を買えるお店屋さんもなし。どうやって暮らしているのでしょうか。

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移動の途中、1件のお家にお邪魔させてもらうと、素敵な家長さんがいらしゃいました。

話しを聞くと、羊を放牧しながら暮らしているとのこと。たまに買い出しに行くそうですが、ほとんどは自給自足をしているようでした。

とにかく水が貴重なので、子どもたちは空のペットボトルでもいいから欲しいと言ってねだります。ペットボトル入りのジュースなんてほとんど飲むことはないんだろうなと思います。

厳しい環境の中で暮らしているのに、迎えてくれた家族のみんなが穏やかで笑顔だったことが深く心に残っています。

ソマリランドの旅がもっと楽しくなる情報を、こちらでまとめています。

未承認国家のパスポート

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アデン湾のビーチで寛ぐ家族 対岸は内戦の止まないイエメン

未承認国家の人たちのパスポートはどうなるのだろうと、ずっと疑問でした。

ソマリランドにも、国際的に効力を持たないソマリランドのパスポートはあるそうですが、結局、海外へ出るためにはソマリアパスポートを取らなくてはいけないのだそうです。

しかもソマリランドからソマリアへは陸路が封鎖されているため空路でしか行き来が出来ません。また自国通貨があるものの、国際社会では認可されていないため、国外ではソマリランドシリングはただの紙切れ。結果、海外に出られるソマリランドの人々はごく限られた人のみということでした。

ソマリランド観光についてはこちらの記事も参考にしてください。
マリランド観光で絶対外せないおすすめスポット10選!秘境から穴場まで

ソマリランドの基本情報まとめ

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ソマリランドの人々は平和に暮らしていますが、決して裕福とはいえない環境です。

ですが、海賊やテロで荒れているソマリアに比べて安定した治安を保ち、ソマリアと自分たちは違うというプライドをあちこちで感じられる国でした。

争わずに平和に暮らしたいと願う人々の未来に、暖かい光が降り注ぐことを祈らずにいられません。

思いがけず好きな国のひとつになったソマリランド。みなさんも、ぜひ訪れてみてください。

※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。

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