
アウシュヴィッツ強制収容所の訪問記|最新の予約方法とクラクフからのアクセス紹介
目次
Toggleポーランド南部に位置するアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所は、第二次世界大戦期のホロコーストを象徴する施設です。130万人以上が犠牲になったこの場所は、世界中の人々に「二度と同じ悲劇を繰り返してはならない」という強い教訓を与え続けています。
歴史的事実としてのアウシュビッツは多くの資料に残されていますが、実際に現地を歩き、空気に触れ、ガイドの声を聞きながら目にする光景は、言葉では表せない重さを持っていました。この記事では、私が訪れた際の体験と感じたことを、共有したいと思います。
また、アウシュビッツ=ビルケナウ博物館(Auschwitz-Birkenau Memorial and Museum)を訪れるには、事前予約が必須となりました。入場自体は無料ですが、ガイド付きツアーを利用する場合のみ料金が発生します。ここでは、最新の予約方法とクラクフからの行き方も分かりやすくまとめました。
2025年現在、アウシュビッツは ガイド付き/ガイドなしの両方がオンラインでの事前予約制 です。かつてできた「現地での当日パス取得」は廃止されました。
アウシュビッツとは ― 概要と歴史

アウシュビッツ強制収容所は、ナチス・ドイツが1940年から1945年まで運営した巨大な収容・殺害施設です。
ユダヤ人を中心に、ロマ(ジプシー)、政治犯、同性愛者など多くの「迫害対象」とされた人々が連れてこられ、過酷な労働、飢餓、病気、処刑、ガス室による大量殺害によって命を奪われました。

敷地は主に以下の2つで構成されています:
アウシュビッツⅠ(本収容所)
移送された人々の登録、労働、処刑が行われた場所で、今もレンガ造りの建物が残っています。
アウシュビッツⅡ=ビルケナウ(絶滅収容所)
ガス室と火葬場が設置され、大量殺害の中心地となった広大なエリアです。
ここだけで130万人以上が犠牲になったと言われ、今も多くの遺品や写真、髪の毛、靴などが展示されています。
ポーランド旅行前に知っておきたい治安・歴史・ビザなどの基本情報は、
▶ポーランドの基本情報まとめ で詳しく紹介しています。
アウシュビッツの予約方法

以下は、アウシュビッツ=ビルケナウ博物館を訪れるための最新の「行き方と予約方法」のガイドです(2025年11月現在の情報に基づく)。
入場はすべて「事前予約制」

アウシュビッツの敷地への入場自体は無料です。入場料が発生するのは「ガイド付きツアー(guide-educator付き)」のみ。
敷地に入るには、すべての訪問者(個人/団体を問わず)に「パーソナライズされたエントリーパス(entry pass)」が必要です。
2025年5月以降、ガイドなし入場(self-guided / without educator)のパスも オンライン予約オンリー となりました。現地で直接取得することはできません。
予約は来訪日の 90日前から7日前まで 受け付け可能です。
→ つまり「現地で並んで無料入場」という昔のような方法は、現在は原則使えません。必ず事前にオンライン予約をしてください。
ガイドなし入場(無料パス)の条件 – 2025年ルール

2025年4月、来訪者数の急増により入場ルールが変更されました。
現在もガイドなしパス(without educator)で無料で入ることは可能ですが、必ず事前にオンラインで予約する必要があります。当日現地でのパス取得は原則できません。
また、入場できる時間帯は季節によって異なります。例えば、4月〜9月は “夕方以降”(例:17:00 以降) に制限されることも。
そのため、「朝イチで入ってゆっくり回る」ような旧来の自由な訪問スタイルは難しいことがあります。結果として、ガイドなしでゆったり見たい場合は「早めに無料パスをオンライン予約→夕方以降入場」が現実的。ただし、展示スペースや見学可能な建物の開放状況などは訪問時に公式情報で確認を。
- ガイドなし(無料)
- 料金は無料。ただし入場できる時間帯が限られる(季節により午後〜夕方以降のみなど)
- 1日の枠が少なく、数週間~1か月先でも満席になることがあります
- ガイドなしで静かに見学したい人は、早めのオンライン予約が必須
ツアー(有料ガイド)を選ぶメリットと注意点

ガイド付きツアーは歴史的背景や収容所の構造・物語をきちんと説明してもらえるため、初めての訪問には理解が深まりやすいのでおすすめです。
各言語(英語、ポーランド語、ドイツ語など)で定期的にツアーが実施されており、所要時間は約3.5時間。両収容所(Auschwitz I と Birkenau)をまわるのに適しています。
予約はやはり、早めの手配がおすすめ。特に人気のある日時や夏季シーズン(観光ピーク)では、ガイドなし・ありともに枠が埋まりやすいです。
- 多くの旅行者が利用する一般的な方法
- 英語をはじめ複数言語に対応
- 所要:約3.5時間(Auschwitz I + Birkenau)
- 料金:110ズウォティ前後(変動あり)
- 人気の時間帯は特に早く満席になるため、事前予約が必須
予約の手順(公式サイト)

①公式サイト Auschwitz-Birkenau State Museum の予約ページ(公式サイト:http://www.auschwitz.org/)へ。
②「Visit for individuals(個人訪問)」を選択。
③希望日・人数を選択。
④以下から希望の形式を選ぶ。
Guided tour(ガイド付き)
Entry without educator(ガイドなし・無料)
⑤予約完了後、メールで届く「入場パス(バーコード)」を保存。
パスは印刷するか、スマホなどにデジタル保存。
⑥当日は入場時にバーコードを提示。ID(パスポートなど)も必要なので忘れずに。
※日本語ガイドは公式では提供されていないため、日本語ツアーを希望する場合は旅行会社の外部ツアーを利用するか、個人で手配する必要があります。詳しくは以下で説明します。
入場時の注意点・補足

荷物のサイズ制限があります(例:手荷物・バックパックは 35×25×15 cm など)。大きな荷物はバスや車に預ける必要あり。
入場時はセキュリティチェックがあるため、予約した時間の少なくとも 30 分前には到着するように。
中谷剛さん — 日本語ガイドの予約方法と料金について

中谷さんは、アウシュビッツ=ビルケナウ博物館で唯一の「公式日本語ガイド」です。1997年に公認ガイド資格を取得して以来、20年以上にわたり日本語で現地案内を続けています。
彼の案内は、「ただ過去を説明する」のではなく、「なぜこの悲劇が起きたのか」「私たちにとって何が問いなのか」を考えさせてくれる内容で、多くの日本人訪問者にとって深い経験となっているようです。
私は残念ながらタイミングが合わず、中谷さんのガイドを受けることができませんでした。
中谷さんの予約方法

基本的には、直接メールで連絡し、見学希望日と参加人数を伝えて予約する形です。
中谷さんのメールアドレス: tnakatani1966@icloud.com
人気のガイドさんなので早めの申し込みが推奨されます。旅行計画を立てたらすぐに空き予定を確認してみてください。
料金の目安

Auschwitz‑Birkenau State Museum の公式ガイド付きツアーはガイド料がかかります。
ガイド付き一般ツアーは、言語や内容によって価格が異なります(例:3.5時間〜6時間のツアーなど)
旅行代理店を通した日本語ガイド付きパッケージの一例では、2名参加で EUR 140〜 というプランもあります。
ただし、中谷さん個人への直接依頼であれば「ガイド料+博物館の入場手配代行」という形になりますので、上記パッケージの料金とは異なる可能性があります。実際に予約時に確認すると良いでしょう。
注意点・おすすめ

ガイドなしで自由に見学する「セルフ見学」枠(無料または入場パスのみ)は存在しますが、枠数が限られており、人気の時間帯はすぐ埋まってしまいます。
「どうしても日本語で歴史を理解したい」「深く考えたい」という場合には、中谷さんのような日本語ガイドの利用を強くおすすめします。
実際、中谷さんのツアーに参加した人たちは「歴史の見え方が変わった」「ただ見るだけではなく、考える旅になった」と語っています。私もガイド本当にお願いしたかったです。
アウシュビッツの場所と行き方

アウシュビッツは、ポーランド・オシフィエンチム(Oświęcim)にあります。敷地はAuschwitz I(本収容所)とAuschwitz II‑Birkenau(ビルケナウ)に分かれています。
クラクフからの移動方法は次の2つです。
クラクフから電車でアクセスする方法

公共交通の場合、クラクフ中央駅(Kraków Główny)から列車でオシフィエンチム駅へ。そこから博物館までは徒歩(約25分)か、バスでアクセスできます。
● 電車(快適・時間に正確)
発着:クラクフ中央駅(Kraków Główny)
所要:約1時間20分〜1時間40分
到着駅:Oświęcim
駅から博物館までは徒歩約25分、またはローカルバスで約10分
クラクフからバスでアクセスする方法

クラクフのバスターミナル(MDA など)からオシフィエンチム行きのバスに乗り、「Oswiecim Muzeum」停留所で下車すると、博物館の入口のすぐ近くです。(約1時間半)
● バス(最も博物館に近い)
発着:クラクフMDAバスターミナル
所要:約1時間30分
最寄り停留所:「Oświęcim Muzeum」下車、入口まで徒歩すぐ
「乗り換えが不安」「入口の近くまで行きたい」という人にはバスが便利。予算重視なら公共交通+無料パス(ガイドなし)、効率重視ならツアー付きツアーも検討、という柔軟な旅程設計が可能です。
アウシュビッツ強制収容所を訪問した記録

実際に訪問してみて感じたこと、現場で聞いたことを書いていきます。英語ガイドさんのツアーに参加したため、もし理解に間違いがあったらすみません。
訪問前の心の準備と揺れる気持ち

訪れる前に資料を読んでいる段階から、胸が締め付けられるような苦しさを覚え、
「本当に行くべきなのか」と迷いました。
アンネ・フランクの母親もここへ連れてこられ、亡くなっています。
歴史を学ぶことは大切だと分かっていても、直視するにはつらすぎる現実がそこにありました。
ガイドツアー:生存者の家族による説明

当日のガイドは、かつてここに収容されながら生き延びた方の“お孫さん”。
説明の途中で涙声になる場面もあり、それだけで胸が痛くなりました。
私自身も、ツアーの間中ずっと、泣くのをこらえるために喉の奥とこめかみが痛むほど。
言葉の一つひとつに、過去に本当に存在した「人間の痛み」が宿っていました。
展示物が語るもの:膨大な遺品と消えた命

アウシュビッツには、収容された人々の膨大な遺品が残されています。
名前が書かれたトランク、無数の靴、山積みの切り落とされた髪、こどもの小さな靴・・・
写真撮影は可能ですが、私はほとんどシャッターを切れませんでした。
展示の前に立つだけで、そこにいた人々の恐怖と悲鳴が聞こえてきそうだったからです。
収容生活と非人道的な行為

ここに連れてこられた多くの人は、過酷な労働や飢餓、病気で数週間〜数ヶ月しか生きられなかったと言われています。
ブルドーザーで死体を処理
逃亡者を見せしめとして吊り下げる台
気まぐれで射殺される人々
医師による不当な人体実験
2000人が押し込められ、絶命したガス室・・・
実際にガス室跡で設備を見たとき、吐き気を覚えるほどの恐怖を感じました。
「なぜ、人はここまで恐ろしいことができるのだろうか?」
同じ人間同士で、どうして命をここまで弄ぶことができたのか…。
どう考えても、その答えは今も分かりません。
“誰か一人の悪”で片付けてはいけない

悲劇を引き起こしたすべてを「ヒトラーが悪い」と片づけてしまうのは簡単です。
しかし、それではこの出来事の本質にたどり着けないと強く感じました。
ヒトラーを独裁者にしていった社会
敗戦国ドイツへの重すぎる賠償要求
民衆の不満と不安
過度な国民の支持
小さな偏見や差別が積み重なっていく土壌・・・
これらの背景を理解しなければ、「同じことはどこでも起こりうる」という現実を見落としてしまいます。
現代につながる問題:アフリカの友人の言葉

アウシュビッツの話をアフリカの友人にしたとき、こう言われました。
「アウシュビッツだけが悪ではない。アフリカにも、表に出ていない理不尽な悲劇はたくさんある。」
その言葉に、さらに胸が締め付けられました。
世界中で、今も苦しみは続いているのだと痛感します。
未来のためにできること

アウシュビッツを訪れ、
「悲しい歴史をただ“可哀想だったね”で終わらせてはいけない」
と強く思いました。
悲劇の理由を知ること
経緯を理解すること
小さな偏見や差別に気付くこと
悪を一つに決めつけず、散らばる原因を拾い集めること
人は誰でも心に小さな闇を持っています。
それが結びつき、やがて膨れ上がったとき、また悲しい歴史は繰り返されてしまうのかもしれません。
だからこそ、私たちは過去を学び、知り、理解し続ける必要があるのだと思います。

おわりに:Pray for Auschwitz, Pray for the World

アウシュビッツは、遠い国・遠い昔の出来事ではありません。
人間が作り、人間が起こした痛ましい歴史です。
多くの人がここを訪れ、歴史を学び、これからの未来に同じ過ちを繰り返さないためにできることは何か、を1人ひとりが考えるきっかけになることを願っています。
いつか世界の全ての国、人々に、平等と平和が訪れますように。
歴史で繰り返されてきた犠牲と悲しみに追悼の意を込めて。
Pray for Auschwitz.
Pray for the World.

※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。
可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。
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