
バングラデシュ旅行記|ロケットスチーマーでダッカへ!警察沙汰に巻き込まれたドタバタ珍道中
目次
Toggleクルナ(Khulna)からモレルガンジ(Morelganj)へ、そして名物ロケットスチーマーに乗ってダッカ(Dhaka)へ──。
バングラデシュ南部を縦断するこの旅は、のどかな川辺の風景と人々のやさしさに触れられる一方で、想像もしなかったトラブルの連続でもありました。
モレルガンジのボート乗り場では、半ば軟禁のような状況に巻き込まれ、目を光らせる地元の男たちに囲まれて逃げ場を失ったり、最終的には警察に保護されて救われたり。
危うい緊張感と、人のあたたかさが入り混じる“バングラデシュらしさ”が凝縮された数日間でした。
この旅行記では、クルナからダッカへ向かう水路の旅で起きた出来事を時系列で振り返ります。
穏やかなはずの船旅が、なぜ刺激的な冒険になってしまったのか。忘れられない経験となった理由を、現地の空気感とともにつづっていきます。
外輪船「ロケット・スチーマー(Rocket Steamer)」とは
ロケットスチーマーとは、かつてバングラデシュの河川網を縦断して人々の足となっていた、外輪式(パドルホイール式)の大型旅客船のことです。19世紀後半に始まり、英国植民地時代から続く歴史ある交通手段で、川沿いの多くの町や村を結んでいました。
船名には、かつて蒸気機関を使っていたこと、そしてその姿が「川のロケット」のように俊敏に見えたことから「ロケットスチーマー (Rocket Steamer) 」と呼ばれ、南部の大河・運河地帯を結ぶ重要な移動手段でした。
しかし近年、バングラデシュの事情も大きく変わります。燃料費の高騰、利用者の減少、そして道路交通網の整備(たとえば橋の建設など)により、定期航路としてのロケットスチーマーのサービスは縮小し、2022年10月に最後の定期便が運航を終了しました。

現在、かつて定期便として使われていた船舶の多くは川岸に停泊したまま――いわば「動かない外輪船」となっています。
とはいえ復活を望む声も多く、最近では観光・ヘリテージ目的での「クルーズ再出航」の動きがあり、2025年11月には、かつての代表船 PS Mahsud が「ラグジュアリーな ‘heritage cruise’」として再デビュー。定期路線ではありませんが、“観光・川の旅の体験”として、週1回の「ヘリテージクルーズ」として運航を再開したと報じられています。(上の写真)
ただしこの再開は、かつてのような「ダッカ ⇄ クルナ」の定期ルートではなく、現時点では ダッカ ⇄ バリシャル(Barishal)間の週1往復のクルーズ に限定されており、内容も夜行の定期便ではなく“観光クルーズ”扱いとなっています。
モレルガンジの場所
旅行の準備に役立つバングラデシュの基本情報(治安・通貨・ビザなど)は、
▶バングラデシュってどんな国?治安や歴史など旅行前に知っておきたい基本情報 に詳しくまとめています。
ロケットスチーマー乗船レポ

書こう書こうと思いつつ、後回しになっていたら、上で書いたように定期船としてのロケットスチーマーはすでに廃止になってました。
すごく楽しい移動だったので惜しくてしょうがありません。観光用としては復活したとのことですが、完全復活することを切に願っています。
これは私の長い長い旅生活の中でも5本の指に入るくらい強烈な思い出の残る体験でした。
今となっては誰かの旅の助けになる情報ではないですが、このときの体験を読んでもらえると嬉しいです。
※当時の日記を引用しながらになるのでちょっと文章はへんてこかもしれません。
クルナならモレルガンジへ

クルナから首都ダッカへはバスで6時間。 けれどあえて今回はロケットスチーマーという外輪船を使って 1泊2日の船移動をすることに。
世界最大の複合デルタをいくこの船での移動は、ベンガル川沿いの風景とその周りに暮らす人々の暮らしを覗くことが出来て、とても楽しい旅になりました。
私のいたクルナからは金曜日しか船が出ないということで、モレルガンジというところまでまたローカルバスで移動。
目的地まで直行バスで6時間で行く方法もあるのに、バスで3時間かけてフェリー乗り場に移動し、そこから更に24時間かけて移動しようという(しかもこちらの方が交通費高い)、物好きな暇人旅人しか選ばないルートです。(笑)

とはいえ、今回はバス移動の間、乗客に折り紙を折ってあげたり、おしゃべりたりと、交流が盛り上がったため、あっという間の3時間でした。
料金徴収係のお兄さんはノリノリ。他の乗客も興味津々で見てきますが、悪意は全く感じずお菓子交換したり楽しい時間。
バングラデシュの人たちは本当にフレンドリーで親しみやすい人が多いです。

ロケットスチーマーのフェリー乗り場はモレルガンジのバス停の対岸にあります。この日は少し小雨が降っていて、みんな傘をさしながらの乗船。
モレルガンジで軟禁状態

モレルガンジに到着すると、リキシャに乗ってフェリー乗り場へ。
ところが「今日は船が出ない。出航は明日の朝」とのこと。聞いてたて話と違うと思いつつ、海外あるあるなので、さっさと諦め、ホテルで休むことに。
ホテルまでは歩いていけるか、と聞くと、「ここにはホテルなんてない!」とばっさり。
唖然・・・。
そしてそのチケット販売所(小屋のような)のおじさん、平然と「ここに泊まっていいから。」と。

マジですか・・・・・。
ありがたいような、ビミョーなような、危険な予感MAX。
そして焦る私をよそに、外国人がいると私の周囲に集まる人々・・。
たくさんの人に歓迎され(?)、代わる代わる記念写真撮ったり食べ物もらったり。そんなことしてたら、もうここから動けない雰囲気になってしまった・・。
ホテルがないなら行く当てもないし、仕方なくお世話になることに。
八方ふさがりのピンチ

そう決心したものの、やはりここに泊まるのはどうかなあと悩んでいたら、ロケットスチーマーはすでに港に来てるから、船の中で休んでもいいよ、といわれ、中に入ってみたものの、そこはさらにやばそうな雰囲気。
電気がつかない薄暗い船内に、みるからにヤバそうな若者が部屋にいて、この部屋一緒にシェアしていいよ、って言ってくれたのですが、
よかねーよ(# ゚Д゚)
船室(個室)はあっても鍵の管理がどうなってるのかわからないし、この怪しい若者とその仲間しかいないゴースト船?海賊船?に乗り込んで、ネットも電話もつながらないこんな場所に女1人で泊まるなんてありえないでしょ。
これならまだ地上のほうが安全と感じ、期待はつかのま、船で眠るのは却下することに。
※これは、停泊中だったから電気止まってただけで、翌日、旅客を乗せた船は全然きれいで問題なしでしたよ。
一難去らずにまた一難

諦めてチケット小屋で夜を明かす決心を決め、たそがれてたら、チケットのおじちゃん2人に出かけようって誘われて、一緒に町に行く。
そして連れていかれたのは、薄暗い怪しいビルの奥の事務所。扉を開けるといろいろな新聞やら人の写真やらが貼られた中に集まっている超ヤバそうなおじさんたち。
これ、絶対やばいおじさんの集まりですよね??



私を見てにやにや笑うおじさんたち。もう絶対殺されるか売られるか、と本気で怯えたものの、今更逃げられないし、なるようにしかならない。
とにかく言葉がなにもわからないから、なにを話合ってるかなんて知りようもない。
じゃあ、と開き直って笑顔で記念撮影(笑)
なんかあったときに、これが証拠写真として残るかもしれないしね。

そしてチケットのおじさんと親玉のおじさんの話し合いは30分ほどで終わり、その場は無事に退散。
多分決行(なんの?笑)は夜なんだろうなと思いながら、最後になるかもしれないこの世の時間を、夜風にあたりながら街をぶらぶら、ふらふら。
おじさんが帰る前に夜ごはんおごってくれたけど、もう味をかみしめる気分でもなく、なにを食べたかも全然覚えてない。そのくらい緊張してた。
死を覚悟したとき警察に保護される

そして、ついに夜。
おじさん2人がもう寝ようとチケット小屋のカギをかけた。この時のカギのかかる音、今でも覚えてる。手錠をかけられた気分。
私は絶対に寝ない!最後まで戦う!と決心して部屋の端っこで拳を固めて息をひそめる。
そしたら、カギ閉められて、電気消されて真っ暗になってほんの数分後、いきなりドアをドンドンとたたく人たちがきた。
おじさん、なんだ?って顔でドアを開けたら、入ってきたのはバングラデシュ警察!!!
「おおおおお~~~~!!!!( ;∀;)」
私を見るなり「We are Police man. You are safe.」と言ってくれた!!
なんとーーーー!!
こんな土壇場でヒーロー現れるなんてこれはドラマ??どっきり??
と、本当に自分の強運に感謝した瞬間でした。
なんで警察がきてくれたのかわからないけど、昼間、あまりにも多くの人が集まり、みんなが世話を焼き過ぎる軽い軟禁状態になっていたので、それを見て心配した人が通報してくれたのかも?
とにかく助かった・・・・。
そこからはあっという間。
チケット屋のおじさん二人とは目を合わせる暇も言葉を交わす暇もなく、警察によって私と荷物はリヤカーに載せられ警察のバイクでぐいぐい引っ張られていく。
おじさんたち、さよーならー ( ´Д`)ノ~バイバイ
地獄から天国

警察の計らいでこの日は警察のガーバメントゲストハウスに泊めてもらうことに。
無料!しかも部屋の外には2人の警官が寝ずの番をしてくれるという神対応!
地獄から天国にきたー!神様ありがとうございます(´;ω;`)ウッ…
ところで私は本当に危険だったのかな?
私の妄想だけで、みんな本当に悪気はなく、ただ外国人が珍しかっただけかもだけど。
You are safeって言われたってことは、やっぱり本当にヤバい状態だったのかな。
自分自身、一体何が起こっていたのか、なにがなんだか、わからないまま。
今もそれは謎。本当はいい人たちだったのかどうかも私にはわからず。
翌日は、警察が同じように送ってくれて、船に乗せてくれて、船が出るまでずっと見送ってくれました。
バングラデシュの警察には本当に感謝しかないです。
怪しいおじさんと警察のお見送り~さようならモレルガンジ

そして見送りにはあの怪しいおじさんたちも。
翌朝私を見つけてなにか話かけてきたけど、警察に阻止されて何が言いたかったのかはわからず。
そもそもおじさんたちはチケット屋さんでもなかったのかも。
よーく考えると、モレルガンジに着いたときに乗ったリキシャが黒幕だったのか?
私、あのリキシャに売られたんじゃないかと思い始めてしまった。だって結局チケットは乗る前に乗船口で買ったから。
チケット屋さんに連れて行ってと言ったけどあのおじさんたちに売られたのかな。今となっては真相は闇。

それでもなんだか、怪しいおじさんと警察に見送られ、船が動き出したときは泣きそうになってしまいました。
なんだか心温かい気持ちになってしまったというか・・。
私はバカですかね。懲りないやつです。
死にぞこない、生きてる喜びを噛みしめ一生懸命みんなに手を振ってお別れです。
憧れのロケットスチーマー

ロケットスチーマーの1泊も静かで美しい風景を眺めながら、他の乗客とのおしゃべりも楽しく、24時間はあっという間でした。
ここにたどり着くまでの時間が濃すぎてスチーマーに乗ったことの感動は薄れたけど、やっぱりよかったです。

昨晩の怪しいヤバいやつも乗ってるのかと思ったらいなかったし、女子も多くて安心でした。昨日の薄暗い船内ではわからなかったけど、部屋も綺麗でレストランの料理も美味しく、なかなか快適。

振り返ってみると、ずっとメンズばっかりが周りにいたのでやっぱ注意は必要としみじみ。
運よく出会った人たちはいい人ばかりだったけど、インドとかではバスにメンズばっかりだと怖いことになるニュースたくさんありますもんね。





そんなこんなでたった1泊 + フェリー1泊の滞在でしたが、モレルガンジではたくさんの友達が出来ました。
保護しに来てくれた警察官たちやフェリーであったみんなと Facebook 交換して今でも連絡を取り合う友達に。
たまには遠回りもいいものです。
教訓にすべきことも多くあったけど、終わりよければ全てよし?でいいのかな。(笑)
少しだけ怖い思いもしたけど、ここはまた戻ってきたい場所のひとつになりました。
ありがとう、みんな。
またね。バングラデシュ!

I planned to travel from Morrelganj to Dhaka by rocket steamer.
Sailing through the world’s largest delta, the journey offers beautiful views of the Bengal riverside and a glimpse into the daily life of the people living along the waterways. It was a 24-hour trip, and I enjoyed every moment of it!
I also made many friends in Morrelganj. Bangladeshi people are truly kind.
And most of all, I want to thank the police officers who did everything they could to keep me safe.
Special thanks to:
★ Bangladesh Police Officers
★ Tarak, Eliyas, Solayman, Monirul
Thank you for everything! See you again!
ロケットスチーマーに乗った話まとめ

クルナからモレルガンジ、そしてロケット・スチーマーでダッカを目指した旅は、途中で起きた軟禁トラブルや警察保護など、予想外の連続でした。
旅の緊張感と、死の覚悟、人々のさりげない助けに救われた数々のシーン、川の国バングラデシュが持つ混沌と温かさ、その両方が凝縮された忘れられない経験となりました。
かつて南部のライフラインだった外輪船ロケット・スチーマーは、現在では定期航路がほぼ消え、歴史的遺産としてわずかに観光運航のみが続く存在へと変化しています。
時代とともに消えていく、不便なのに冒険心をくすぐられる、そんな道をこれからも旅のルートに選んでいきたいです。
※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。
You May Also Like

ウズベキスタンってどんな国?治安や歴史など旅行前に知っておきたい基本情報【2025年最新】
2025年3月23日
【未承認国家】沿ドニエストル共和国を旅して|感じたことや行き方など現在の情勢まとめ
2025年12月3日
