クリスマス島に生息する青い顔と茶色の羽が特徴的なBrown Booby(カツオ鳥)
オセアニア,  オーストラリア,  クリスマス島

クリスマス島で野鳥観察!固有種・観察スポットなどバードウォッチング情報

クリスマス島は「カニの島」として有名ですが、実はバードウォッチャーにとっても世界屈指の楽園です。

島の森や断崖、海岸には固有種や希少種を含む50種類以上の鳥が暮らし、とくにシラオネッタイチョウ(Golden Bosun)をはじめ、島でしか見られない美しい鳥たちが訪れる人を魅了します。赤道近くに位置するため一年を通して観察がしやすく、繁殖期には求愛や給餌などダイナミックな行動が見られることも。

海鳥の大コロニーや優雅な滑空、黄金色の翼がきらめく姿など、クリスマス島ならではの魅力を詳しく紹介します。

クリスマス島の鳥の特徴とは?

クリスマス島国立公園の看板

インド洋に浮かぶクリスマス島は、島の約75%を国立公園が占める“鳥の楽園”です。断崖絶壁と深い森が広がる独特の環境は、多様な鳥類の繁殖地として世界的に重要な役割を果たしています。

ここには 固有種・絶滅危惧種・大型の海鳥 が数多く生息し、世界中のバードウォッチャーが訪れる人気スポット。人に慣れている鳥が多く、野鳥撮影がしやすいのも大きな魅力です。

森に入れば森林性の鳥が、海岸や崖に出れば多くの海鳥に出会えるなど、島全体が“巨大な鳥の展示場”のような環境になっています。

クリスマス島で見られる代表的な鳥(固有種・人気種)

クリスマス島で生息する鳥類を紹介している観光案内

クリスマス島には、ここだけでみられる固有種や、絶滅危惧種に指定されている貴重な鳥など、数多く生息しています。ここでは代表的な鳥たちを紹介します。

①Christmas Island Thrush(クリスマスツグミ)

テーブルに置いた餌箱をむさぼるChristmas Island Thrush(クリスマスツグミ)

クリスマス・ツグミChristmas Island Thrush、学名:Turdus poliocephalus erythropleurus) は、クリスマス島だけに生息する固有のツグミで、クロウタドリに似た体形を持つ中型種です。

体色は暗灰色で、胸は淡い灰色、腹部と目の周囲、脚が鮮やかなオレンジ色をしており、森の中でひときわ存在感があります。地上で採食することが多く、昆虫やミミズ、ヤスデ、種子などを幅広く食べる雑食性。雨季には低木や建物の棚に巣をつくり、2~3個の卵を産みます。ひなは約10日で巣立ちますが、その後もしばらく親鳥に給餌されて成長します。

個体数は比較的安定していますが、生息域がクリスマス島内に限られていることから絶滅危惧種に指定されている貴重な鳥です。

②Abbott’s Booby(モモグロカツオドリ)

クリスマス島の固有種・Abbott’s Booby(モモグロカツオドリ)。高い木の巣で寄り添う親鳥のペア

モモグロカツオドリ(Abbott’s Booby)は、世界でクリスマス島だけに繁殖地を持つ極めて貴重な海鳥。翼開長は約1.5〜2mと大きく、白と黒のコントラストが美しい姿で知られています。

高い熱帯樹上に巣を作り、風を受けて滑空する様子は島の北側の崖や高台から観察できます。個体数は環境変化や外来種の影響で大きく減少しており、国立公園局が最重要保護種として管理しています。

つがいは一度ペアになると長期間パートナーを変えず、1年に1つの卵しか産まない慎重な繁殖スタイルも特徴。長い時間をかけて雛を育てる姿から、生命力と家族性の強い海鳥としても知られています。

③Christmas Island Hawk-Owl(クリスマスフクロウ)

クリスマス島に生息するChristmas Island Hawk-Owl(クリスマスフクロウ)
©https://christmasislandnationalpark.gov.au

クリスマス島固有のフクロウで、夜の森で響く「フー、フー…」という低い鳴き声が印象的な種。体はコンパクトで、褐色系の羽に細かな模様が入っており、日中は木陰で静かに休んでいることが多い鳥です。

昆虫や小さな動物を捕食することで森林のバランスを支える重要な存在。ナイトウォークでは、高い枝にとまって周囲を見渡す姿や、木々の間を正確に飛び回る姿が観察できます。

外来種の影響により一時は個体数が減少しましたが、保護活動によって徐々に回復しつつある絶滅危惧種。夜のクリスマス島の象徴ともいえる存在で、島に宿る静かな生命の営みを感じさせる鳥です。

④Red-footed Booby(アカアシカツオドリ)

クリスマス島で木の上に佇む Red-footed Booby(アカアシカツオドリ)

アカアシカツオドリ(Red-footed Booby)は、鮮やかな赤い脚が特徴の海鳥で、クリスマス島では比較的よく見られる種です。優れた滑空能力をもち、外洋へ遠くまで飛んで小魚やイカを捕食します。巧みに海面へ急降下して獲物をとらえるハンティングスタイルは迫力満点。

繁殖期には木の上に粗い枝の巣を作り、1つの卵を大切に育てます。雛への給餌はつがいで協力して行われ、親鳥の強い育児行動も魅力のひとつ。足の赤さは個体差があり、成熟に伴ってより鮮やかになる傾向があります。

島では比較的人慣れしており、観察しやすい鳥として人気です。

⑤Brown Booby(ブラウンカツオドリ)

クリスマス島の海沿いの木にとまっているBrown Booby(カツオ鳥)

ブラウンカツオドリ(Brown Booby)は、全体的に茶色の羽と白い腹部を持つ海鳥で、クリスマス島沿岸の崖や海岸線に多く生息しています。力強い羽ばたきと直線的な飛行が特徴で、海面へ一直線に突っ込むダイビング捕食は迫力満点!

クリスマス島の上空を飛ぶBrown Booby(カツオ鳥)
足ひれが可愛い

主な餌は小魚や飛び魚。巣は地面に直接つくることが多く、天敵に警戒しながら抱卵します。島の周遊クルーズや海岸沿いの展望ポイントから観察されることが多く、飛び立つ瞬間や水面すれすれを滑空する姿が特に美しい鳥です。

⑥Christmas Island Frigatebird(クリスマスオオグンカンドリ)

クリスマス島に生息するChristmas Island Frigatebird(クリスマスオオグンカンドリ)

クリスマスオオグンカンドリ(Christmas Island Frigatebird)は、クリスマス島だけに繁殖する世界的にも極めて貴重な海鳥です。翼を大きく広げたときの幅は2メートルを超え、細長い翼で上昇気流をつかみながら長時間滑空する姿が特徴的。

オスは繁殖期になると胸の赤い喉袋(グラー)を大きく膨らませ、メスへのアピールを行う独特の求愛行動で知られています。主に魚やイカを捕食しますが、水面すれすれを飛びながら巧みに獲物を奪う“空中のハンター”としても有名です。

絶滅危惧種に指定されているChristmas Island Frigatebird(クリスマスオオグンカンドリ)を描いたストリートアート
私は残念ながら赤い喉袋を膨らませた姿には会えず。

個体数は世界的に減少しており、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種に指定。クリスマス島はこの貴重な鳥を観察できる数少ない場所として、バードウォッチャーから高い注目を集めています。

繁殖期は1月から9月頃まで。一対のペアが1個の卵を産みますが、1本の木に最大40個の巣が群生するコロニーを見かけることもあります。

⑦White-tailed Tropicbird(シラオネッタイチョウ)

クリスマス島の空を飛ぶWhite-tailed Tropicbird(シラオネッタイチョウ)
©https://christmasislandnationalpark.gov.au

シラオネッタイチョウ(学名:Phaethon lepturus)は、クリスマス島を象徴する美しい鳥として知られ、地元では“Golden Bosun”の名で親しまれています。

白い体に長く伸びた尾羽、さらに黄金色がかった翼の模様が特徴で、優雅な旋回飛行はまさに島の空を彩る存在です。

また、クリスマス島にはシラオネッタイチョウのほかにも赤い尾のアカオネッタイチョウ(Red-tailed Tropicbird/Phaethon rubricaudaが生息しています。

クリスマス島の海岸で木陰に隠れる Golden Bosun のひな鳥
Golden Bosun のひな鳥

主に崖や森の奥の岩の隙間に巣をつくり、1つの卵を時間をかけて育てます。

飛行力が高く、外洋まで滑空して小魚やイカを捕食。鳴き声は鋭く、繁殖地では響き渡ることも多いです。写真映えし、バードウォッチャーにも特に人気があります。

どこで見られる?おすすめのバードウォッチングスポット

Dolly Beach(ドリービーチ)

クリスマス島のバードウォッチング

原生林を抜けた先に広がる静かなビーチ。道中の森林では固有種のハトやフクロウ、海岸ではカツオドリ類を観察できます。自然の密度が高く、初心者でも出会いが多いエリアです。

The Dales(ザ・デイルズ)

クリスマス島の固有種・Abbott’s Booby(モモグロカツオドリ)。高い木の巣で寄り添う親鳥のペア

渓谷と小川が流れる人気の自然スポット。モモグロカツオドリやインペリアルピジョンの繁殖地が近く、森の上を行き交う海鳥がよく見られます。木陰が多く、暑い日でも観察しやすい環境です。

Ethel Beach(エセルビーチ)

クリスマス島、Ethel Beachの遊歩道脇にいるカツオドリ

カツオドリ類を近距離で見やすい海岸。風を受けて滑空する姿が美しく、朝夕の光で写真映えします。周囲の林では固有のハトも観察しやすいポイントです。

Margaret Knoll(マーガレット・ノール)

クリスマス島国立公園内にあるMargaret Knoll(マーガレット・ノール)とカツオドリの銅像

島内には野鳥観察用の展望台が複数設置されており、断崖の海鳥コロニーを広く見渡せます。特にアボッツツカツクリを探すなら欠かせないスポットです。

バードウォッチングのベストシーズン

クリスマス島の木の上で、羽を広げてメスにアピールするRed-footed Booby(アカアシカツオドリ)オスとそれを眺めるメス
求愛中♡がんばれ!

クリスマス島は年間を通して気候が安定しているため、バードウォッチングは基本的に通年OKです。ただし、繁殖や雛の姿を見たい場合は時期に特徴があります。

  • 11〜3月(雨季):海鳥の繁殖が活発
  • 4〜8月(乾季):観察しやすい気候で撮影向き
  • アボッツツカツクリ:例年6〜9月は繁殖行動が見られる
  • 固有種(ハト・フクロウ):通年安定して観察可能

雨季は路面が滑りやすいものの、鳥の動きは一年で最も活発です。

撮影・観察のコツ

クリスマス島に生息する青い顔と茶色の羽が特徴的なBrown Booby(カツオ鳥)

クリスマス島は鳥との距離が近いので、初心者でも観察しやすい環境です。

  • 早朝・夕方が最も活発
  • 森では 静かに立ち止まると向こうから近づくことも多い
  • 海岸の鳥は 望遠200〜300mm程度で十分
  • ナイトウォークではフクロウ観察のチャンス
  • 公式のガイドツアーに参加すると希少種に出会いやすい

無理に近づかず、自然の動きに任せるのが上手に観察するコツです。

Indian Ocean Experiences
公式サイト:https://www.indianoceanexperiences.com.au/

絶滅危惧種と島の保護活動について

クリスマス島国立公園内にあるMargaret Knoll(マーガレット・ノール)の展示品

クリスマス島では、固有種が外来種の脅威にさらされており、国立公園局が保護活動を続けています。特にモグロカツオドリ(Abbott’s Booby)は生息地が限定的で、繁殖木の保護や外来種の駆除が重要な課題。
環境保護のため、

  • 巣の近づきすぎを避ける
  • トレイル外に出ない
  • 夜間ライトの使いすぎに注意する

といった配慮が求められます。

Lapinの旅日記:クリスマス島バードウォッチング編

クリスマス島、Ethel Beachの遊歩道脇にいるカツオドリと自撮りする観光客

クリスマス島、鳥たちのレポ。

魔法使いの手下顔のようなカツオドリやバカという愛称の鳥(正確には①で紹介したクリスマスツグミ)は、ほとんど毎日見かけるほど身近。

自然と共存するのが当たり前な世界だと鳥たちとの距離も近く、野生なのに向こうからぐいぐい近寄ってくる。普段から人間に見守られていることを知っているよう。

とはいえ、決して手は出さない。自然の生態を守るため、ただじっと見守るだけ。

滞在中にバードウォッチングをするツアーに出かけた。その時に、たまたまケガした鳥たちに出会うアクシデントがあり、公式機関を通じてのレスキューをまのあたりにした。

上の動画のカツオドリの幼鳥は、数日前に巣のあった場所の木が倒れ、呆然としているよう。周囲に親鳥の姿はなかったけど、とりあえすヒナではなく動けるようなので触らず様子見。できるだけ自力で生き延びて欲しいという願い。

プラスティックゴミをかぶり、疲弊しているアカアシカツオドリ

こちらは、この島で1番汚れたビーチにいたアカアシカツオドリ。ゴミをかぶってぐったり。

Greta Beach(グレタ・ビーチ)はインドネシアから300kmにある。それなのに、このビーチにはインドネシアからゴミの漂流物が流れ着いてくるため、めちゃ汚い。人間ってひどい。

しかしなぜか、ウミガメはこのゴミが漂着する汚れたビーチを選びカメの繁殖地にしている。自然の原理はわからない。ゴミが漂着してくるように、潮の流れに関連するのか・・。

今は現地でこのビーチの清掃ボランティアも活動しているそう。鳥やカメたちが安心して暮らせる場所に保てますように。

ケガをして水場に落ちて這い上がれなくなったChristmas Island Frigatebird(クリスマスオオグンカンドリ)

他にも水場に落ち込んで這い上がれなくなった鳥をレスキュー。

たった4時間ほどのツアー中に4羽もレスキュー。鳥たちの世界も大変そう。

必要最低限の手助けのみで、あとは自然に任すのみ。絶滅危惧種や希少種、滅びず生き残りこってくれることをただただ願うのみ。

がんばって!

まとめ|鳥の宝庫・クリスマス島で唯一無二の自然体験を

クリスマス島の海辺の岩場からこちらを見つめるカツオ鳥

固有の鳥、断崖を舞う海鳥、夜の森に響くフクロウの声。クリスマス島は、世界でも珍しいほど野鳥との距離が近い島です。

バードウォッチング初心者から本格的な写真家まで、誰でも楽しめる鳥の楽園。ぜひ次の旅では、鳥たちの息づかいが感じられるこの島の魅力をたっぷり味わってみてください。

※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。
可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。

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