
クロコダイル・フェスティバル旅行記|パプアニューギニア・セピック川の伝統祭りへ
目次
Toggleパプアニューギニア北部、セピック川沿いの町アンブンティ(Ambunti)で毎年開催される「Sepik River Crocodile Festival(クロコダイルフェスティバル)」。
ワニを神聖な存在として崇める部族が集い、伝統舞踊や入れ墨の儀式を通じて誇りと文化を伝える特別な祭りです。
アクセスも宿泊も決して容易ではありませんが、その分だけここでしか見られない“生きた文化”に出会えます。
この記事では、フェスティバルの雰囲気や行き方、ウェワク(Wewak)からアンブンティまで4日間の旅の記録を詳しく紹介します。
Sepik River Crocodile Festivalとは?
このフェスティバルの意味
Sepik River Crocodile Festival(セピック川クロコダイルフェスティバル)は、ワニを祖先の象徴として崇める部族の文化を称える祭りです。
セピック川流域では、男性の通過儀礼として皮膚にワニの鱗のような模様を刻む「スカリフィケーション(Scarification)」が今も伝わっています。
フェスティバルでは、この誇り高い文化を次世代に伝えるため、各村の代表が集まり、儀式的な踊りや音楽を披露します。観光向けのショーではなく、**部族の精神と誇りを共有する“生きた文化行事”**として開催されています。
開催時期
クロコダイルフェスティバルは、毎年8月初旬にセピック川中流域の町アンブンティ(Ambunti)で3日間にわたって開催されます。乾季のこの時期は川の水位が安定し、各村からボートで移動しやすいため、セピック全域から人々が集まります。
日中は儀式やダンスが行われ、夜は音楽や太鼓の響きが川辺にこだまし、祭りの熱気が途切れることはありません。
雰囲気
会場には、顔にペイントを施した戦士たちや伝統衣装に身を包んだ女性たちが集い、ドラムのリズムに合わせて力強く舞います。観客席との境界がほとんどないため、観光客もすぐそばで部族のエネルギーを肌で感じられるのが魅力です。
土埃と太鼓の響き、鮮やかな羽飾り、そしてワニを模した彫刻や仮面——そのすべてがセピック川の豊かな精神文化を物語っています。写真や映像では伝えきれない、圧倒的な迫力がここにはあります。
Sepik river Crocodile Festivalの開催場所
フェスティバルが行われるAmbuntiへは、WewakからPagwiまで車で約4時間、PagwiからAmbuntiは、ボートは2時間~3時間です。
Sepik River Crocodile Festival旅行記(3泊4日)

2025年8月5~7日に開催されたSepik river Crocodile Festivalに参加してきました。このフェスティバルに行くために、Wewakから1泊、Ambunti3泊、Wewak1泊、と計5泊6日のスケジュールです。
ここでは、WewakからAmbuntiまでの3泊4日の旅程とフェスティバルについて紹介します。
Wewakの観光情報はこちら
1日目:セピック川を遡り、アンブンティへ

Crocodile Festival Opening。
WewakからPagwi(パグワイ)まで車で4時間、そこからボートに乗り換えてセピック川をゆっくり遡って2時間かかるAmbuntiまで。
両岸には熱帯のジャングルが広がり、時折、川辺で洗濯をする女性やカヌーを漕ぐ子どもたちの姿も。
パプアニューギニアでは年間を通してたくさんのフエェステティバルが開催されていて、その1つがSepik RiverのCrocodile Festival。
ジャングルの奥にあり交通が不便で宿泊施設もほとんどないため,観光客はごくわずか。
その分、他の有名なフェスティバルにはないローカル感とアットホームな雰囲気が魅力。
手配が大変な場所。

到着後に案内された宿は、電気のない素朴なロッジ。窓は網戸だけで、夜になると大きな虫やゲッコーが当たり前のように部屋に入り込んでくる。シャワーもトイレも共同ですが、これもセピック流。電気も贅沢もないけれど、星空の下で過ごす夜は静かで不思議な安らぎに包まれる。
2日目:フェスティバル初日、ゆるやかな始まり

いよいよ「Sepik River Crocodile Festival」の初日。まだ全ての部族が揃っておらず、午前中はのんびりとした雰囲気。
観光客は少なく、参加者のほとんどが地元の人たち。それだけに、とても温かく迎え入れてくれ、「ウェルカム」と笑顔を向けてくれる人が多かったのが印象的。

そして、時間がゆっくりと流れる中、来ただけでは終わらないのが私。みんなと一緒の衣装を着て一緒にダンスしたいと言って部族に交渉。そして見事、部族3人の女の子たちが着ていたのを脱いでもらい借りる、という荒技を成功させてきた(笑)

顔にペイントを施し、草や羽飾りを身につけて一緒にダンス。ガチで部族してきましたよ。
部族フェスデビュー。楽しかった〜。
フェスティバルは3日間。1日目から大満喫。
明日はもっと奥の部族たちも来るのだそう。
楽しみ^_^
3日目:祭り最高潮!伝統と誇りの饗宴

フェスティバル2日目はCrocodile Festivalメインの日!いろーんな部族が大集合!
中日を迎えたフェスティバルは、ついに最高潮。各地から集まった部族が次々と登場し、色鮮やかな装飾と力強いダンスで会場を沸かせます。伝統のダンスや歌を披露していく光景は圧巻!中には本物のワニを抱えた男性たちの姿もあり、観客からは歓声が。
パプアニューギニアの部族が使う「仮面」には深い意味があり、単なる装飾やお祭りのためではなく、「精神的」「宗教的」「社会的」な意味を持っているのだそう。
ワニをブンブン振り回す部族がいたり、カメを崇拝していたり、多種多様で本当に面白い!
普段もこんな格好している、という部族は今ではほとんどないけれど、今後もこの文化と伝統は大切にして欲しいです。
パプアニューギニアの人たち、写真を全然嫌がらずに撮らせてくれる上にお礼まで言ってくれるので、ついつい写真が多くなりました。
フェスティバルが終了し、夕方からはガイドたちとアンブンティの丘へ。夕焼けに染まるセピック川を眺めながら、ワニの鱗を模して皮膚を切り付ける伝統儀式について話を聞きました。誇りと痛みが共に刻まれた、その文化の深さに興味津々。
4日目:別れとハプニング、そしてワニ料理

Sepik River Life final
楽しかったFestivalも終演。
濃かった数日はあっという間で夢のよう。最終日は午前中のセレモニーを見届け、再びボートでPagwiへ。
ところが途中、モーターが突然故障し、ワニの潜む川面を漂うというスリリングな展開に。
幸い30分ほどで何とか修理でき、無事にWewakへ戻ることができました。
夜は旅の締めくくりにワニ料理を味わい、クロコダイルフェスティバルの名にふさわしいフィナーレ。
ワニ料理は意外に美味しくて逆にびっくり!脂身がなく、さっぱりしててちょっと噛み応えがある感じ。
パプアニューギニア北部をクネクネと大地に絵を描くように流れるセピック川。
飛行機で空から眺めた時に,その複雑なクネクネにびっくりしたのはつい先日。
そしてその広大な流域には、手つかずの自然とともに、古くからこの地に根付く先住民族の人々が、それぞれ唯一無二の伝統を尊重しながら暮らしていることが私を驚かせてくれました。
彼らの暮らしは、川の流れ、木々のざわめき、動物たちの声と深く結びついており、中でもワニ(クロコダイル)は、単なる動物以上の存在。
精神的な象徴であり、守護の存在であり、日々の暮らしの中でも重要な役割を果たしています。
そんなセピックの人々の文化と心に触れることができたCrocodile Festivalに参加できたことは貴重な体験。
大地とともに生きることの意味、自然と共鳴する暮らしの美しさを再確認できた気がします。

ここで過ごした一瞬一瞬が、忘れられない素敵思い出!
文化と自然、そして人の温かさに満ちた、忘れられない3泊4日の旅。
ありがとう出会った人たち!
またお会いしましょう。
Cheers☆
Sepik River Crocodile Festivalの行き方

ポートモレスビーからWewakへ
フェスティバルの拠点となるアンブンティ(Ambunti)へ行くには、まず首都ポートモレスビー(Port Moresby)から北部の港町ウェワク(Wewak)まで国内線で向かいます。
航空会社はAir NiuginiやPNG Airが運航しており、フライト時間はおよそ1時間半。便数は限られているため、フェスティバル時期(8月)は早めの予約が必須です。
Wewakはセピック川流域の玄関口となる町で、ここで食料や水、日用品をあらかじめ準備しておくのが安心です。
Wewakからアンブンティへ(ボート移動)
Wewakからフェスティバル会場のあるアンブンティまでは、車とボートを乗り継ぐ必要があります。まず車で約2時間半かけてPagwi(パグウィ)という川沿いの村へ移動し、そこからモーターボートに乗り換えてセピック川をさらに約2時間遡ります。
途中、熱帯雨林と水上集落の景色が続き、まるで時間が止まったような静けさ。川面を滑るように進むボート旅そのものが、セピックの魅力を体感できる貴重な体験です。
ボートは基本的に現地ガイドが手配してくれるため、個人旅行の場合はWewak発の現地ツアーを利用するのが現実的です。
訪問時の注意

費用は高めだが、それだけの価値あり
パプアニューギニアのセピック川地域は、交通の便が限られているため、旅行費用はやや高めです。首都ポートモレスビーからの国内線に加え、ボートや車の移動、ガイド手配、宿泊、食事などを含めると、3泊4日でおおよそ1,000〜1,500米ドル前後が目安となります。個人での移動は難しいため、現地旅行会社を通じたツアー参加が現実的です。費用はかかりますが、現地ガイドの知識と安全確保を考えれば、それに見合うだけの価値があります。
宿泊施設はとても素朴
アンブンティの宿泊施設は非常に簡素で、電気なし・窓は網戸のみ・トイレとシャワーは共同という環境が一般的です。夜になると照明はランプか懐中電灯頼み。虫や小さなヤモリ(ゲッコー)が部屋に入ってくるのは日常の一部です。快適さを求める場所ではありませんが、こうした環境の中でこそ、自然と人との距離の近さを感じられるでしょう。
必要最低限の荷物(懐中電灯、虫除け、ウェットティッシュなど)を準備しておくと安心です。

現地では現金・水・衛生対策を忘れずに
アンブンティやセピック川沿いの村にはATMや商店がほとんどないため、Wewakで現金と水を多めに準備しておきましょう。また、暑さと湿気が強く、衛生環境も限られているため、携帯用の除菌ジェルや簡易救急キットを持参すると安心です。
Sepik River Crocodile Festivalのまとめ

セピック川流域の「Sepik River Crocodile Festival」は、観光ショーではなく、人々の誇りと信仰が息づく本物の祭りです。
アクセスも宿泊環境も決して快適とは言えませんが、その不便さの先にあるのは、他では決して味わえない体験。ドラムの音、踊る戦士たちの息遣い、そして笑顔で迎えてくれる地元の人々――すべてがこの地の文化そのものです。
ワニを祖先として敬い、自然と共に生きる人々の姿を間近に見ることは、旅人にとっても忘れがたい学びと感動をもたらしてくれます。
文明の喧騒から遠く離れたセピックの大地で、“生きた伝統”と出会う旅をぜひ体験してみてください。
※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。
可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、
お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。
確認の上、迅速に対応・修正いたします。

You May Also Like

アフガニスタンの国境で平和を願う~Peace Flagをつなぐ旅「ウズベキスタン編」
2025年3月21日
マラウィ観光で行ってよかったスポット9選!世界遺産の湖から穴場まで
2025年2月14日