
【犬ぞり体験記】氷の洞窟を目指す北極圏の旅!スヴァールバル諸島を大冒険
目次
Toggleノルウェー本土の北、北極圏に浮かぶスバールバル諸島(Svalbard Islands)。
一年のほとんどが雪と氷に覆われるこの地に、やっともうすぐ春らしきものが訪れようとそわそわし始めた頃、犬ぞり(Dog Sledding)で氷の洞窟を目指す2泊3日の北極キャンプに参加してきました。
過酷さと美しさが共存する世界で、犬たちとともに見た光景は一生忘れられません。
今回は、その体験をご紹介します。
犬ぞり体験の記録
犬ぞり体験記:大冒険の3日間

スヴァ―ルバル諸島の冒険。
犬ぞりで2泊3日の時間をかけて、氷の洞窟を見に行くチームに参加。チームメイトは各国から集まった探検家もどきの物好き8人とチームリーダー1人、計9人。
忘れられない旅の記憶をここに記録。
北極キャンプの始まり ― 犬ぞりで氷河を進む冒険へ

はじめまして、の挨拶もそこそこ、私たちはすぐに旅立ちの準備を始めます。
犬たちも出発前の緊張が伝わっているのか、少し興奮状態。1頭1頭それぞれネームプレート付きの部屋があり、大事にされているようでした。
名前が書いてるのはわかりやすくて◎。自分のそりを引いてくれる子たちの名前はしっかり憶えておきたいです。

私たちはまずペアを組み、4台のソリに分かれて荷物を積んでいきます。
先頭のソリには荷物と3人、犬8頭、他は2人1組で1つのソリを6頭の犬がひいてくれるスタイル。1時間ごとに操縦と着席を交代しながら進みます。
犬ぞりについては、簡単なレクチャを受けただけで、すぐに出発!あとは実践で学ぶのみ。
これからいくつもの氷河や雪山を超え、氷の洞窟(Ice Caves)を目指します。

私のパートナーはカナダから来たPat。彼女の「あなたが操縦して!」という明るい一言で、私はほとんどずっと操縦を任されることに。
犬ぞりは、過去にもフィンランドで体験済。なのでまあ、大丈夫だろうと気楽に構えていましたが、観光で数時間乗るのと、北極圏で実際に犬ぞりで旅するのとでは大違い。
想像をはるかに超えるハードな世界でした。
犬ぞりで挑む北極圏 ― 厳しさの中に宿る静寂の美

スバールバルの春先は−16〜−20℃。風が吹くと頬が刺さるように痛く、吐く息は瞬時に凍ります。
この時、4月の上旬。まだまだ吹雪も多い寒い季節。吹雪の日は視界が数メートルしかなく、前方の犬の姿すら見えないことも。

走り出すとすぐにマスクもゴーグルも凍り、眉毛もまつ毛も氷で覆われ、まるで氷の彫刻になったようでした。それもひどく醜く・・(笑)
もうとにかく、置いていかれないように前についていくことに必死で、自分の見た目とか一切気にしてられません。

吹雪くと視界も悪くなり、雪も重くなって滑らなくなります。
登り坂では犬たちが疲れ、私たちもソリを押して前進。下り坂ではブレーキを踏みながら速度を調整。
下りではソリの方に勢いがつきずぎてしまい、前を走る犬の足を引いてしまうので、ブレーキの加減が難しいのです。
犬と人が呼吸を合わせ、チーム全体で自然に挑む。それがこの冒険の醍醐味でもあります。

とはいえ、雪に埋もれてうまく歩けず、足も気分もどんどん重くなっていくこともありました。
思ったほどパウダースノウとういわけではなく、足にくっついてとにかく歩きにくい。ソリを降りて歩いていると、犬たちが元気を取り戻してわーっと走っていくのを慌てて追いかけたり。凍った顔でひきつり笑いしてました。
そんな苦労もある中、晴れ間がのぞいた瞬間は、全てが報われます。
真っ白な山々が淡い青に染まり、雪の粒が光を反射してキラキラと舞う。
ここでしか見ることのできない、ここでしか感じることのできない“地球の静寂”がそこにはあります。
疲れも吹っ飛び、来てよかった、と思える美しい風景。登山は苦手だけど、登山家たちが山に挑む気持ち、少しだけわかったような気持ちでした。
氷の洞窟 ― 光と氷が織りなす幻想の世界

犬たちとの相性も良くなり、ソリもそつなくこなせるようになってきたところ、この旅のハイライト、氷河の内部にできた氷の洞窟探検(Ice Cave Exploration)に到着です。

最初、着いたと言われても全くわからなくて、どこだこだと思ったら、足元でした。
人1人が辛うじて通れるくらいの穴が下に向かてのびています。
これ、ガイドさんいなかったら絶対わからないやつ。
そして一番最初に飛び込む勇気でないやつ。(笑)

ひとまず、降りるのはいいけど、ちゃんと上がって帰ってこれるかなと不安になりつつ下の世界へ滑り込みます。
ロープも心なしか細くてちょっと頼りない気も。だけど多分環境保護のための配慮?

つべこべ言わずにとにかく降りましょう。
入り口だけがすごく狭くて、1歩中に入るとそこはすごく開けた空間でした。
そして壁一面に美しいマーブル模様の氷河。

氷河の中は、本当に本当に神秘的な世界。
洞窟の壁には氷の結晶がびっしりと張り付き、茶や青や白の層がマーブル模様を描いています。
アイスランドの氷の洞窟が透明なサファイアブルーなのに対し、スバールバルは深みのあるマーブルブラウンとホワイトのグラデーション。
光の角度によって表情を変えるその氷は、まるで生きているかのラウン

あっという間にその美しさと繊細さに魅了されてしまいます。自然の生み出す芸術は本当にどんなに人間が頑張っても叶わないことを思い知らされる気分。
美しく儚く尊いものたち。
語彙力少なすぎて伝わらないかもしれませんが、ただただ本当に美しいの一言。感服です。

中はまた狭くなり、さらに滑り降りたり、ロープを使ってよじ登ったり、這いつくばって匍匐前進しながら進む場面も。
下が氷で滑るので進みやすいのですが、勢いで滑ってしまうと暗闇の果てに引き込まれそうな恐怖もぬぐえません。

私はやや閉所恐怖症気味なのですが、この光景の前では恐怖心より感動が勝ちました。
壁に触れると、何千年も閉じ込められてきた氷の気泡が光を反射して、まるで宇宙の星々のように輝きます。
「地球って本当に生きている」と心から感じる瞬間です。

探索の途中、奥の奥の奥の奥。一部分だけ他とは様子の違うところにたどり着きました。
なにかすごく意味のある場所らしく、かなり長い時間をかけてガイドさんが説明してくれていたのですが、写真に夢中になっていてちゃんと聞いていませんでした・・。
あとで調べてみたのですが、なんだったのか結局わからず。なのですみません。もし知っている人いたら、ぜひ教えてください!
この一部分だけ下に氷が全くない状態。本当に狭い隙間をぬぐって入っていった小さな空間です。氷河の中なのに、なぜここだけ氷がないのか?多分その説明をしてたはず。
みなさんもガイドさんのお話はちゃんと聞きましょう。写真はその後にね。(笑)

氷の洞窟内には数か所ホールがあり上に繋がっています。
この開放感がありがたい。

雪や氷、1つ1つが繊細で見惚れます。自然景観を壊さないように、そろりそろり。
自然の作り出す繊細な模様は、有名な宮殿の装飾にも負けない美しさ。ここは氷の洞窟というよりも氷のお城。「アナと雪の女王」の世界。

外部へつながる大きな黒のトンネル。
アイスランドのアクアブルーのような透き通った美しさも良かったけれど、こちらのマーブルも重厚感があって本当に素敵。

ここは来れて本当に良かった場所。
間違いなく私の忘れられない場所ベスト10に入ります。
自然美堪能しました。
北極キャンプ

想定よりもちょっと雪多し。
キャンプのテントもうまってます。まあ、半分うまってた方が、強風で飛ばされたりしないから良いのかも。

雪の上にトナカイの皮をひいたものがベッド。
以前、スウェーデンのIce Hotelに泊まったときも氷のベッドの上にトナカイの皮をひいてました。
トナカイ寒さ対策に最強!

ご飯はお湯入れるだけの栄養食。これ、めっちゃ美味しいんです。ちょっと味付け濃ゆめだけど味は本格的。いろいろなタイプの味があります。
日本円で7~800円で、安くはないけどお土産でいっぱい買いました。
ロングイェールビーンのスーパーマーケットで購入できます。超おすすめ!

3食これ!(笑)
犬ぞりに載せられる荷物は限られているので、栄養価がある、軽い、かさばらない、は必須。
そして大事なのはこの後の処理。人間が食べたものの空、残骸、食べこぼしは厳禁。白クマさんに分け前をあげてはいけません。食べ物の形跡は全て削除しましょう。
これ大事。
犬たちと過ごした、かけがえのない日々

彼らは白熊(Polar Bear)が近づけば吠えて知らせてくれる頼もしい存在であり、私たちの命の守り神でもありました。
最初はただの犬ぞりチームの一員だった犬たちが、旅の終わりには家族のような存在に変わっています。
彼らのまっすぐな瞳、ひたむきに走る姿に何度も胸が熱くなりました。

犬たちは、出発するたびに尻尾をぶんぶん振り回して待ちきれなかったというように飛び出し、休憩のたびに、雪に体をうずめて眠ります。
雪の上がいちばん暖かいと知っている彼らの姿は、本能と知恵のかたまり。北極で生きる、美しくて強くて賢い動物。愛してやまない犬さんたち、ありがとう。
北極が教えてくれたこと ― 自然と共に生きるということ

犬と一緒に自然の中で過ごした3日間は、単なるアクティビティではなく、
「自然と生きる」ことを全身で学んだ時間でした。
氷の洞窟で見た光、犬たちの息づかい、吹雪の中の沈黙。
どの瞬間も“生きている地球”そのものでした。

厳しさと美しさが同居する北極の世界で感じた、人間の小ささと自然の偉大さ。
人間て本当に生かしてもらっているよね。自然と動物たちから。それを忘れちゃいけないね。
連れてきてくれた犬たちに感謝。そしてこの美しい地球にも感謝。
北極圏の犬ぞりの役割

北極圏では、犬ぞり(Dog Sledding)は長い歴史を持つ重要な交通手段でした。雪と氷に覆われた地では車も使えず、犬たちは人や物資を運ぶ貴重な存在として暮らしを支えてきました。
現在は観光やスポーツの要素が強くなりましたが、その根底には「人と犬の信頼関係」という伝統が息づいています。

指示に忠実に従い、仲間と力を合わせて雪原を駆ける犬たちの姿は力強く、誇りに満ちています。
犬ぞりは単なる移動手段ではなく、北極圏の人々にとって文化と共生の象徴でもあるのです。
犬ぞりの犬種

犬ぞりを引く犬たちは、寒冷地に特化したたくましい犬種です。
代表的なのはシベリアン・ハスキー(Siberian Husky)やアラスカン・マラミュート(Alaskan Malamute)、グリーンランド・ドッグ(Greenland Dog)など。

厚い被毛で氷点下でも体温を保ち、強靭な脚力と持久力で長距離を走ることができます。性格は社交的で、チームで行動することを好むのも特徴。
彼らは単なる「働く犬」ではなく、仲間と息を合わせて走ることを楽しんでいます。犬ぞり体験では、そんな犬たちの生き生きとした表情を間近で感じることができるでしょう。
犬ぞりは可哀そう?

犬ぞりと聞くと、「犬に無理をさせているのでは」と心配する声もあります。
しかし、信頼できる施設では犬の健康と幸福を第一に考え、十分な休息と栄養管理、獣医のケアが徹底されています。
犬たちは本能的に走ることを好み、雪の上を駆けることに喜びを感じます。チームの一員として働くことは、彼らにとって誇りでもあるのです。

観光客が体験する犬ぞりツアーの多くは、犬の負担を最小限に抑える短距離・低速コース。
優しく声をかけ、走る犬たちのリズムを感じながら進む時間は、人と動物の絆を深める穏やかな体験になります。
犬ぞりを楽しむために

犬ぞりを体験する際は、まず犬たちへのリスペクトを忘れないことが大切です。
指示や動きを妨げないよう静かに見守り、触れるときはガイドの許可を得ましょう。

走行中はカメラに夢中になりすぎず、風の冷たさや犬の息づかい、そりの滑る音に耳を傾けてみてください。防寒対策もしっかり整えて臨めば、より快適に楽しめます。
体験後に犬たちをねぎらい、写真を撮る時間も大切なひととき。人と犬が共に作り上げる北極圏ならではの温かい冒険をぜひ犬と一緒に楽しんでください。
犬ぞり体験まとめ

今回の犬ぞりの旅は、私の長い旅歴史の中でもかなり思い出深い体験となりました。
人×犬×自然、思う通りにはならないものたちが集まり、1つ1つを乗り越えながら同じ目的地へと向かっていく、その達成感はひとしおです。
リスクもあり、誰にでもおすすめする、というわけにはいきませんが、前知識を持ち、条件を揃えて参加すれば、忘れられない体験となるはずです。
犬ぞりに興味のある人はぜひ挑戦してみてくださいね。
※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。
可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。
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