ソマリランドの古代遺跡ラス・ゲルとダガックス・グレの観光~神秘の岩絵~
世界中の隅々、こんな遠く離れた地にも、それぞれ歴史があり、人が住んでいた足跡があります。それはソマリランドにも。
Laas GeelとDhagax-Kure。今回は、首都のハルゲイサから足をのばして、2つの古代遺跡を訪れました。
LAAS GEEL/ラス・ゲル
ラス・ゲル(Laas Geel)は、ソマリランド北西部に位置する古代の岩絵遺跡で、紀元前6000年から5000年の間に描かれたとされています。
古代新石器洞窟の岩絵画を含む考古学的遺跡で、発見されたのはなんと2002年、とほぼ見つかったばかりで手つかずのままという貴重なもの。アフリカ先史時代の芸術として注目されています。
— 場所: Oromo, Woqooyi Galbeed, Somalia
ラス・ゲルは、首都のハルゲサから南東55kmのところに位置しており、ソマリランドの観光としては訪れやすい場所にあるため、最も観光客が出向く人気スポットの1つです。
といっても公共の交通機関はでておらず、道のない草原を車で走らせるため、個人で来るのは難しいと言えるでしょう。
この日も私たち以外は誰もおらず、また、いわゆる観光地として整備されているわけでもないので、物売りやレストランなどもありません。飲み物や食べ物が買える場所も近くにはないので、準備万端でいくようにしてください。
ラス・ゲルには、岩壁にたくさんの家畜や狩猟、祭りのシーンが書き込まれており、当時の社会や文化を垣間見ることができます。ほんの少し前に書いたのではないかと思うほど、色鮮やかな岩絵があちらこちらに描かれているため、あまりの保存状態のよさに、夢中になって見入ってしまいます。
古代の岩絵は、ナスカの地上絵などでもいわれるように少し宇宙的な雰囲気。
古代遺跡を訪れ、古に思いを馳せるときは、いつも宇宙規模で神秘を感じてしまいます。
寝転がって入っていくような場所、立てないような狭い隙間にもたくさんの絵が。
どんなシチュエーションで書いていたのか気になります。
そうかと思えば、広いホールのようなところの天井にまで絵。とにかくこの石窟の中のありとあらゆるところに絵がびっしりと描かれおり、まさに壮観。
視線を感じて見上げてみると、可愛らしい動物が。
時を刻むことさえも忘れ去られたようなこの場所をそっと見守る管理人でしょうか。心配そうにのぞき込んでいます。
大丈夫。なにもしないから、少しだけ時を共有させてね。
岩窟から見渡す景色。
今でもほとんど人の来ないこの辺鄙な場所に残されていた古代人たちの生きた証。何を考え、何を思い、どんな気持ちで絵を描いたのか。どんな夢をみて、どう感じながら生きていたのだろうか。
しばし古代に思いを馳せます。
ソマリランドは今でも観光はソルジャーとドライバーを雇わなくては観光できません。どこもそんなに怖いイメージはないのだけれど。
しかし、ここに着くまでいったい何人の人に道を聞いたことか。聞いても聞いても、ほとんどの人が知らないという答え。そりゃそうだ、だってそもそも道がないんだもの!
本当に、自力では絶対これない場所なので、ソルジャーとドライバーさんがいてくれてよかったと思います。
場所:QCJV+F99, Hargeisa, ソマリア
DHAGAX KHOURE/ダガックス グレ
続いて訪れたのは、ハルゲイサから北西45㎞にあるダガックス・グレ(ダガ・クール / Dawadihs / Da’kax Groby / Dhagax Khoure)。英語名も日本語読みもいろいろでどれが正式なのかよくわかりませんでした。
ダガックス・グレは、ソマリランド南部に位置する古代の岩彫刻と壁画の遺跡です。ここには珍しい壁画や彫刻があり、紀元前のものであるとされています。・グレは、古代の宗教的または臨場的な用途が考えられており、その神秘的な雰囲気が訪れる者を引きつけます
ダガ・クールの古代岩絵は、2002年にラス・ゲルの洞窟遺跡が発見されるまでは、ソマリランドで一番有名な岩絵でした。残念ながらラス・ゲル発見後は訪れる人が減ってしまいましたが、花崗岩の露頭が一連に連なる壮観な風景は一見の価値があります。
3~4km にもわたる、奇岩の造形は本当に素晴らしいの一言。巨大なタートルバックの隆起にあるパネルまたがり描かれた数百もの牛、人、生物。ここに描かれた絵は6000年以上も前のものだそうです。
とてつもなく価値深いものたちばかりが野ざらしで転がっています。(笑)
残念なことに2011年の初頭にいくつかの岩絵がなにものかによって汚損されてしまったのだそうです。遥か古代の人たちの生きた証を、ずっと大切に守っていってほしい、訪れる者も少なく、管理者もいないこの貴重な遺跡を、どうか未来につなげて欲しいと祈るばかりです。
大地がずっと続く風景。なんでもないけど、古代からずっと続いていると思うと、それだけですべてが特別に感じます。そして、まだまだこの周辺には知られていないロックアートがあるのではと考えられているそうです。ロマンがありますよね。
しばらくここへ滞在して、古代遺跡の発見者になってみようかな。なんて^^
場所:PVG7+H5, Arabsiyo, ソマリア Dhagax Khoure
ソマリランドの観光はこちらの記事も参考にしてください。
ソマリランド観光で絶対外せないおすすめスポット10選!秘境から穴場まで
まとめ
どちらの遺跡も岩山に隠れるように描かれた岩絵。どのような想いを込めて描いていたのか、どのような気持ちでこの景色を眺めていたのか。遥か彼方の国の、遥か昔の人々のことを考えると、遥かな国からやってきた私が、今こうして同じ場所にいることも不思議に思えてきました。
道なき道を進まなくてはいけないので、行きづらい場所であることは間違いですが、究極の穴場、究極の絶景です。感動すること間違いなしなので、ぜひ行ってみてくださいね。