
ソンクル湖を旅する|キルギスの絶景!天空の湖の魅力を徹底ガイド
目次
Toggle標高3,000メートルを超えるキルギスの高地にたたずむソンクル湖(Song-Kul / Сонкөл)。夏の短い間だけ草原に命が芽吹き、遊牧民のゲル(ユルタ)が点在するこの場所は、まさに「天国にいちばん近い湖」といっても過言ではありません。
今回は、現地で馬に乗ってソンクル湖周辺を巡った2泊3日の乗馬トレッキングの旅について記録します。途中の景色、現地の人々との交流、ゲルでの宿泊体験など、息をのむような瞬間の連続でした。
本編に入る前に、まずはソンクル湖の基本情報と、旅の計画に役立つポイントをご紹介します。
ソンクル湖とは?
ソンクル湖(Song-Kul/ソン・クル湖)は、キルギスの中央部、天山山脈の高地に広がる美しい湖です。標高は約3,016メートルに位置し、氷河や雪解け水からなる淡水湖で、四方をなだらかな山と広大な草原に囲まれています。湖の大きさは南北約29km、東西約18kmと広大で、晴れた日には空と山々が湖面に映り込む絶景が広がります。
春から夏にかけての短いシーズンには、遊牧民たちが家畜とともにこの湖畔に移動し、伝統的なゲル(移動式住居)で生活を営みます。ソンクル湖周辺はまさに「キルギスの夏の放牧地(ジャイロー)」であり、乗馬、ゲル宿泊、星空観察など、自然と共に生きる人々の暮らしを垣間見ることができる貴重な場所です。
観光地化はまだそれほど進んでおらず、訪れる旅行者の多くは馬に乗って1泊〜数泊のトレッキングをしながら湖を目指します。道中ではインフラが整っていない分、ありのままの自然と文化に深く触れられるため、「本物の遊牧体験ができる場所」として世界中の旅人から高く評価されています。
ソンクル湖の場所
ソンクル湖は、キルギス共和国の中央部、ナリン州に位置しています。首都ビシュケクからは南東方向へ約300km、車で約6〜7時間の距離にあり、標高3,000m級の高地にぽっかりと広がる湖です。周辺には都市や大きな村はなく、最も近い拠点となるのがコチコル(Kochkor)という町。多くの旅行者はこの町を起点に、ツアーや個人手配でソンクル湖を目指します。
湖へ至る道のりは未舗装で荒れていることも多く、四輪駆動の車や馬でのアクセスが一般的です。とくに夏季(6月中旬〜9月上旬)になると、コチコル発の乗馬トレッキングツアーが盛んに行われ、馬に乗って2泊3日〜4泊5日ほどかけて湖を往復するのが人気のスタイルです。
交通インフラは発展途上ですが、その分だけ手つかずの自然と静けさが守られており、「遠くても行く価値のある場所」として旅人の間で知られています。
ソンクル湖のベストシーズン

ソンクル湖を訪れるベストシーズンは6月中旬から9月上旬までのわずか3ヶ月間。の時期だけ湖周辺の雪が溶け、道路が開通し、遊牧民たちも家畜とともにゲルを張って生活を始めます。
6月下旬〜7月前半:草原が一面の花畑に変わる美しい季節。観光客はまだ少なめ。
7月中旬〜8月:気温が安定し、最も過ごしやすい時期。ツーリストも増える。
9月上旬:朝晩がかなり冷え込むが、遊牧民のゲル生活が終わる直前の時期で、自然が静かに戻り始めるタイミング。
それ以外の時期は雪に閉ざされ、アクセスも困難になるため観光には不向きです。高地のため夏でも朝晩は氷点下近くまで冷え込むこともあるため、防寒対策は万全にして臨みましょう。
Lapin体験談:今回私が行ったのは5月中旬。ツアーはまだ始まっておらず、公式にはオープンになっていませんでしたが、どうしても行きたく、個人で馬とガイドを手配し、1組だけいた遊牧民の家に泊めてもらう段取りをして2泊3日で行ってきました。
この時期は湖はまだほとんど凍っている状態で、そこまでの山道も雪や凍っているところが多かったです。かなり急斜面なところも登らなくてはならず、馬も嫌がり登らせるのが大変でした。
苦労した分、まだ誰もいない(泊めてもらった遊牧民のおばちゃん2人組みとそこの羊飼いはいました。)ソンクル湖を独り占めすることができましたが、コストもかかる&安全とはいえない状態なので、やはりシーズンを待ってツアーで行くことをおすすめします。
ソンクル湖への行き方・アクセス

ソンクル湖への主なアクセス拠点は、キルギス中部の町「コチコル(Kochkor)」です。首都ビシュケクの西バスターミナルからコチコルまでは、乗り合いバン(マルシュルートカ)やタクシーで約3〜4時間。コチコルのバスターミナルや宿で情報を集めれば、現地発のソンクル湖ツアーや乗馬トレッキングも手配できます。
コチコルからソンクル湖までは、距離にして約80kmですが、道の多くは未舗装で、車では約3〜4時間、馬で行く場合は2〜3日かかるルートになります。観光客向けの4WD車による送迎サービスや、馬とガイド付きのトレッキングプランなどもあります。英語を話せるガイドは限られているため、信頼できる旅行会社を通すと安心です。
湖周辺には公共交通機関は通っていないため、必ず事前に移動手段と宿泊(ゲル)を手配する必要があります。
ソンクル湖の魅力

標高3,016mの高原にある湖なので、雲が近く、空の色が濃い。夏には遊牧民が放牧に訪れ、ゲルでの生活が体験可能です。
乗馬で湖をぐるっと周遊する旅はまさに非日常!現地の馬は小柄で穏やか、人にも馴れています。
観光地化されすぎていないため、本物のキルギスの自然と文化に触れられる貴重な場所です。
コチコルからソンクル湖までの日程例

実際に私の体験した日程はこちら。ツアーだとまた内容は多少違ってくるかもしれませんが、ソンクル湖までは大体こんな感じでした。
【1日目】コチコル〜初日のゲルまでホースライディング
朝早く馬に乗って出発。草原を走らせたり、谷を登ったりしながら最初の宿泊地、遊牧民のいるゲルを目指します。
途中休憩しながら、14時くらいにゲルに到着。お昼ご飯を食べて周辺散策。遊牧民の暮らしぶりを覗きながら楽しい時間を過ごします。
赤ちゃんがぐるぐる巻きで寝かされていることにびっくり!
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【2日目】湖畔の絶景と星空の下、馬と過ごす忘れられない時間
朝、羊の放牧とともに私も出発。1日目よりも崖が多く馬が嫌がり困難に遭遇。何とか谷を乗り切り、ソンクル湖に到着!
ソンクル湖を散策。馬を本気で走らせたり、遊牧民のおばちゃんとおしゃべりしたり。
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【3日目】名残惜しい別れ
ソンクルからの日の出を拝み、散策してから帰路。帰りたくないと思うほど好きな場所でした。帰る途中にヤクの群れに遭遇。なぜかめっちゃ威嚇されて怖かった・・。
こんな感じであっという間の3日間、そして生涯忘れることのないだろう3日間を過ごしました。
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宿泊について:ゲル(ユルタ)体験

湖周辺には複数のゲルキャンプがあり、夏期限定でオープンします。
ゲルでは以下のような体験ができます。
遊牧民の家庭料理(クムス=馬乳酒やラグマンなど)
星空観察(晴れた夜は満天の星空)
現地家族とのふれあい、伝統衣装の試着など
※夜間はかなり冷えるため、防寒対策が必須です。
私が行ったときはオフシーズンだったため1つの遊牧民のゲルと、昨年の名残りで置き去りにされたフィッシャーマンの遊牧民のゲルが1つだけでした。
湖畔にゲルが立ち並ぶ夏にもまた行ってみたいです。
乗馬トレッキングの魅力

1日4〜6時間ほど馬に乗って草原や丘を移動します。道中の景色はひたすら絶景!美しい花々や鷲、ヤク、羊の群れなどとの出会いは忘れがたいものです。
ガイド(地元の若者や遊牧民)が道中サポートしてくれますが、長時間の乗馬は股が痛くなったりするため、不慣れな人は4WDツアーがベター。湖までは車で行き、湖の周りを乗馬で周ることもツアーなら可能です。
私は3日間、悪戦苦闘しながらがっつり馬で移動しました。
体験記では、こうした日々の移動やキャンプでの出来事を詳しく記録していきます。
服装・持ち物

ソンクル湖を訪れる際は、「昼は日差しが強く、夜は真冬のように寒い」という高地特有の気候に対応した服装・装備が必要です。
乗馬トレッキングをする場合は、動きやすさと防寒・防風性の両立がポイントになります。また、馬で行く場合はスーツケースは不可!なるべく必要なものだけをバックパックに詰めて軽量で行けるようにしましょう。
基本の服装(夏でも重ね着推奨)
- 防水・防風のアウター(レインジャケットなど)
- フリースや軽ダウン(朝晩の冷え込み対策)
- 長袖Tシャツと速乾性インナー(日焼け・汗対策)
- トレッキングパンツ/動きやすいズボン
- 帽子(紫外線対策)・サングラス・日焼け止め
- 乗馬向けのグローブ(あれば便利)
あると安心な持ち物
- ヘッドライトまたは懐中電灯(ゲル内は夜とても暗い)
- モバイルバッテリー(電源が限られている)
- トイレットペーパー・ウェットティッシュ
- 耳栓(風の音や動物の鳴き声対策に)
- 個包装のお菓子・エネルギーバー(小腹対策)
- 常備薬・酔い止め・整腸剤(高地+乗馬の影響に備える)
靴について
乗馬にはスニーカーや軽トレッキングシューズが適しています(登山靴のように固い靴は不向き)。
ソンクル観光の注意点

ソンクル湖周辺では、多くの旅行者が遊牧民の「ゲル(移動式住居)」に泊まる体験をします。これは非常に貴重な文化体験ですが、快適さを求めすぎない心構えが大切です。
1. 暖房と断熱は基本的に「なし」
夜は非常に冷え込むため、寝袋や毛布を重ねて寝るスタイルが一般的。暖房のないゲルも多いため、厚手の靴下や湯たんぽ代わりのペットボトル湯などがあると助かります。
2. トイレは屋外・簡易式
ゲル近くに設置された仮設トイレ(または穴式)を使います。夜は暗く、足場も悪いため、ライトとトイレットペーパーを常に持参しておきましょう。
3. 電波・電気は期待しない
ソンクル湖周辺は電波が届かないことも多く、充電設備も限定的。スマホの電池節約やモバイルバッテリー持参が必須です。
4. 食事は地元の家庭料理
食事はホストファミリーが作ってくれる地元の料理(パン、スープ、乳製品など)が中心。慣れない味もありますが、遊牧民の暮らしを感じられる貴重な体験です。苦手な方は軽食やインスタント食品を持参すると安心です。
ソンクル湖観光ガイドのまとめ

ソンクル湖は、単なる絶景スポットではなく、「自然」と「文化」に深く触れられる特別な場所です。ここには、自然の厳しさと美しさ、そして遊牧民たちの暮らしが息づいています。
馬に乗り、風に吹かれながら過ごす日々は、現代の旅ではなかなか味わえない原体験そのもの。
この後の記事では、私が体験した3泊3日の乗馬トレッキングの様子を、日ごとに詳しく綴っていきます。ぜひ、現地の空気を感じるような気持ちで読んでいただければ嬉しいです。


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