
オリノコ・デルタ旅行記|世界のニュースの向こう側で静かに流れていた時間【ベネズエラ旅】
目次
Toggle最近、アメリカとの緊張関係をきっかけに、ベネズエラという国名をニュースで目にする機会が増えています。
政治や外交の文脈で語られるベネズエラは、どこか遠く、硬い印象。でも私の中にあるベネズエラの記憶は、まったく違う温度を持っています。
それは、オリノコ・デルタ(Delta del Orinoco)で過ごした濃密で静かな数日間。印象深すぎて逆に記事にしていなかった場所。
今回は、ニュースを見ながらベネズエラのみんなを想い、滞在の記録を紹介しようと思います。
オリノコ・デルタとは?

オリノコ・デルタ(Delta del Orinoco)は、南米を代表する大河オリノコ川(Orinoco River)がカリブ海へと注ぐ直前に広がる巨大な三角州地帯のこと。
無数の水路がジャングルを縫うように走り、陸と水の境界は曖昧で、地図よりも「流れ」で理解する場所でもあります。

道路はほとんどなく、移動はカヌーやボートが基本。ここにはワラオ族(Warao)をはじめとする先住民が暮らし、ヤシの葉で編んだ家屋が水辺に浮かぶように建っています。
私が滞在したのは、ベネズエラのモナガス(Monagas)にあるエコキャンプ、Orinoco Eco Camp。
オリノコ川の支流の真ん中、ジャングルに抱かれるように建つロッジで、部屋はヤシの葉で作られた自然との距離0㎝のバリアフリーな部屋。電気も最低限、夜はランプの明かりと虫の音だけが世界のすべてのような場所でした。
行き方と基本情報
カラカスからオリノコ・デルタへは、国内線で東部の町トゥクピタまで移動し、そこからボートで川を遡ってロッジへ向かいます。
都市からジャングルへ、移動するほどに世界が静かになっていく旅路でしたが、個人手配は難しく、現地ツアーやロッジ送迎が前提となります。
ただ、当時と現在では状況が変わっているため、公式機関で最新の治安・交通状況の確認は必須です。

ベネズエラの旅行前に知っておきたい治安・歴史・ビザなどの基本情報は、▶ベネズエラってどんな国?危険?治安や宗教、食事まで2024年最新実態調査! で詳しく紹介しています。
オリノコ・デルタの体験
約3週間のベネズエラ滞在もいよいよ終盤。最後の数日間は、ジャングルの奥深くにひっそりとたたずむ、オリノコ・デルタで過ごします。
ジャングルの中のエコロッジ
【Orinoco Delta】
A few days to spend with an Indian in the jungle
最後はやはりこちら系にたどり着きます。私は手つかずの自然や原来の人の
生活に強く引き寄せられるようです。

ジャングルの中のエコキャンプ、「Orinoco Eco Camp」へ。
壁のないお部屋は、常にジャングルを肌で感じることが出来た空間。バリアフリーのお部屋は自然と一体化して最高の居心地。
朝は決まって、鳥の声で目が覚めます。目覚ましの代わりに、どこか誇らしげな鳴き声が響くのが心地よい。

ベットから見渡せるジャングル。ここで虫の声を聞きながら眠り、ここで鳥の声で起きました。
ベットに横になったまま、昼は鳥、夜はホタルを見ることが出来ました。招かざる客、5cmくらいのクモが落っこちてきてもへっちゃらです。
ここでは人も動物も虫もただの同じ生き物。
って、虫嫌いの人には多分、ここは地獄かも?(笑)
ジャングル探検

日中はロッジのガイドとともに、ジャングル探検へと出かけました。
連れて行ってもらったジャングルは、血を流す木やおいしい水が流れる木など、興味津々。生活の知恵の宝庫!

ドロ沼に足がはまり込んで抜けなくなったり、虫の大群に襲われたりしたけど貴重な体験をしました。
ピラニア釣り

ピラニア釣りにも挑戦。素朴な木の枝に針と糸を垂らすという、シンプルなスナフキンスタイルの釣り。
釣りは幼いころからよく父と行っていたので得意だったのだけど、なかなか難しい!なかなかかかってくれない。何度もあたりはあるのに、エサだけ取られて釣れず・・
悔しい><

眠くなりかけたとき、ガイドさんの川面に垂らした糸にあたりが。凶暴なイメージとは裏腹に、釣り上げたピラニアは小さく、どこか愛嬌すら感じます。
とはいえ、糸を食いちぎって逃げたり、針を外そうとする手を噛もうとしたりするので、油断は禁物。
結果、ガイドさんが釣った1匹だけで、私は収穫なしでした。残念。

でもちゃっかり私がごゴチになりました^^
お命、ありがたくいただきます。
ディープフライ。さっぱりしていて美味。小骨がちょっと多めですが、日本人にも抵抗のない味だと思います。
アナコンダ探し

別の日にはアナコンダ探しもしました。
細いカヌーで沼をすすみ、少しドキドキ。見たい気持ちと大きすぎるのが出てきちゃったらどうしようという迷い半分。
結果的に姿を見ることはなかったけれど、ジャングルの奥で「いない」という事実すら、ここではひとつの体験。

足元の泥、湿った空気、ガイドが立ち止まるたびに張りつめる静けさ。何も起きない時間が、妙に豊かと感じる平和な時間でした。
文章にはできない、ここで見た美しい風景は私の心の中の宝物です。
バードウォッチング

ジャングルに住む鳥たちは多種多様。バードウォッチングでは、色彩の洪水のような世界が広がります。
赤、青、黄色。図鑑で見たことがあるような鳥。名前を知らない鳥ばかりでしたが、覚えなくてもいい。ここでは「見ること」自体が目的。そんな自由な雰囲気が好き。

野性のオウムと野生のフクロウ、初めて見ました。
こんな鮮やかな鳥たちが、本当に野生で存在するんだなという、当たり前のことを不思議に感じたりしたものです。

こんな可愛い小鳥たちがすぐそばまで遊びに来てくれるなら、狭いカゴに無理に閉じ込める必要もありません。
人も鳥も自由でいられることが一番大事。
自然と共に過ごす時間

たくさんの時間を過ごしたお気に入りの場所、ハンモックのある憩いの部屋。ここでベネズエララムのレモンジュース割りを飲みながらみんなとだらだら過ごした時間は大切な思い出。
たくさんの先住民の人たちや、美しい鳥、猿、水色の蝶、真赤なトンボを見ることが出来ました。

ハンモックに揺られて眠っていると、いつの間にか犬や猫、鳥たちも周りを囲むようにお昼寝しにきます。犬や猫、天井には鳥もきて一緒にお昼寝。
かまって欲しくなるとみんなハンモックの中に顔を入れて遊んでよーと催促してきます。

全ての生き物に対して、この地球で同じ時間を同じ場所でともに生きる仲間と感じて愛おしくなります。
ゆっくりとした、何ものにも変えがたい幸せな時間を過ごしました。
オリノコ・デルタに暮らす人々

ワラオ(Warao)は、主にベネズエラ東部のオリノコ・デルタ(Delta del Orinoco)に暮らす先住民族で、名称は「カヌーの人」「水の民」を意味するとされています。
彼らの生活は陸よりも水に近く、川と湿地の網の目の中で独自の文化を育んできました。
ワラオ族(Warao)の子どもたち

先住民の子ども達は強くたくましかった。
まだ3~4歳くらいの子どもたちが、毎日カヌーを漕いで遊びに来てくれます。こんなに小さい子たちが自分たちだけでカヌーを漕ぎ、カヌーにたまった水を自分たちでかき出します。本当に逞しい子どもたちです。

仲良しになったイアと。滞在中、たくさん遊んでもらいましたよ。
朝から晩まで元気に川で遊び、ジャングルを走り回っていました。物資的に豊かではありませんが、人としてとても豊かに育っていると羨ましくさえ感じます。
先住民の家を訪ねて

先住民の人たちは自然保護の象徴ではなく、自然の中で普通に暮らしている人たちです。川は彼らにとって道であり、庭であり、台所でもあります。
ニュースで語られるベネズエラとは別の時間が、ここには流れていました。

家を訪問すると、家長のおじいさんが、ハンモックに揺られながら出迎えてくれました。
ハンモックは木から糸を編んだ完全ハンドメイドでとても丈夫!シンプルで最低限のものしかありませんが、家族みんなの笑顔は明るいものでした。

発展途上国を巡るたび、発展は、人に与えるものも多いのかもしれませんが、奪うものも多いと感じてしまうのです。
そして、過剰に発展した国の無駄と悲劇、発展が途上もしくは後退している国の不足と苦悩、この対比が皮肉に感じられ、どうしたものかと憂いてしまいます。
もっと詳しくベネズエラの観光情報を知りたい方は、▶ベネズエラ観光で行ってよかったスポット7選!世界遺産から絶景に穴場まで もチェックしてみてください。
ジャングルで過ごした1週間

私がここを訪れた時、すでにベネズエラは深刻な経済危機と政治的混乱が同時に進行し、「国家崩壊」寸前の状況に陥っていました。
外貨不足により輸入が大幅に減少し、医薬品や食料品などの基礎物資が薬局やスーパーから消える深刻な事態。首都カラカスは「世界で最も危険な都市」ランキングでワースト1位になるなど、治安状況が極めて悪化していた時期です。

ろくな下調べもせずベネズエラ行きを決めてしまったことを後悔しながらの旅でしたが、そんな現実はどこ吹く風といわんばかりに、ロッジのスタッフやガイドたちは、皆、驚くほど穏やか。
物資不足の中、自然に寄り添ったできる限りのおもてなしで迎えてくれました。

英語は片言でも、笑顔と身振りで十分に通じます。食事の準備をする人、カヌーを操る人、森の話をしてくれる人。
出会ったそれぞれが、この土地と深く結びついて生きているのが伝わってきました。

短い期間でしたが、現地の人たちと仲良くなり、心を通わせた時間。
動物たちとの距離が近く、動物たちとさえも仲間になれたと感じてしまう、そんな特別な場所。
ここでの体験全てが、かけがえのない宝物。

今の情勢を思うと、あの静かな川辺で出会った人たちの暮らしが、どうか途切れていないことを願わずにはいられません。
あの川の流れのように、今日も淡々と日常を重ねているでしょうか。
変わらず、朝は鳥の声で目を覚まし、川に出て、森と共に生きているでしょうか。

政治や国際関係の緊張は、確実にこの国に影を落としているはずです。
オリノコ・デルタで出会った人たちは、ただ、平穏に1日1日を暮らしていたい、そんなつつましい人たちばかりでした。
人間界のいざこざとは無縁に、野鳥や生物たちがのんびりと生きることを慈しんでいる場所でした。
今のニュースを見ていると、胸の奥のざわつきを止めることができません。
ニュースでは見えないベネズエラ

世界情勢の中で語られるベネズエラと、オリノコ・デルタで過ごした日々。その間には、大きな隔たりがあります。
ニュースは国の点を語りますが、それが全てではありません。
オリノコ・デルタで流れていた時間は、今も私の中で、ゆっくりと続いています。あの川のほとりで出会った人たちが、どうか平穏でいてくれますように。
ただそれだけを、今もずっと、静かに願っています。
※当記事の情報は実際に旅した際の体験と、調査時点の情報をもとに執筆しています。可能な限り正確を期していますが、万が一情報に誤りや更新漏れがある場合は、お手数ですが「https://tabilapin.com/contact/」よりご連絡いただけますと幸いです。確認の上、迅速に対応・修正いたします。
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